2024年に登場したハイエンドのSoC「Snapdragon 8 Elite」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみました。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」です。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってきます。
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Snapdragon 8 EliteのCPUとGPUのスペック
SoC | Snapdragon 8 Elite |
CPU | Oryon CPU:4.47GHz |
GPU | Qualcomm Adreno |
Snapdragon 8 Eliteの処理性能
▼Snapdragonは大きく4つの性能帯に分かれています。Snapdragon 8 Eliteは最上位クラスのハイエンド帯のSoCです。↓
本記事で使用する製品は以下。
Snapdragon 8 Eliteの実機AnTuTuスコア
端末の性能を数値化するAnTuTuベンチマークで実機測定してみましょう。
▼Snapdragon 8 Eliteの実機AnTuTuのスコアは総合スコアが2,726,348点、GPUスコアは1,249,140点、UXは388,505点となっていました。↓
前世代のSnapdragon 8 Gen 3が総合スコア約21.7万点、GPUスコア約91.7万点だったので大幅なスコアアップとなっています。
また現行世代のライバルであるDimensity 9400と比較した場合、性能は非常に拮抗したものとなっています。
Snapdragon 8 EliteもDimensity 9400もメーカーアピールでは総合スコア300万点オーバーを謳っている場合もありますが、ガルマックスの実機AnTuTuデータベースを確認する限り、実際は260万点以上300万点未満というスコア帯です。
振り幅が広いのは冷却性能の違いも大きいです。
今回検証で用いているスマートフォンは冷却性能を極限まで高めているゲーミングスマートフォンのREDMAGIC 10 Proを使用していますが、同じ系列メーカーでSnapdragon 8 Eliteを搭載するカメラフォンのnubia Z70 Ultraでは250万点を切るスコアとなりました。
このように冷却性能の違いでスコアの伸び方も異なるのは留意しておくべきポイントです。
▼以下は2025年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約150万点以上 GPUスコア:約60万点以上 | ヌルヌル、動作に不満なし |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約35万点〜60万点 | 重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約15万点〜35万点 | 軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜15万点 | 必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Snapdragon 8 Eliteのゲーム以外の動き
Snapdragon 8 Eliteを搭載するスマートフォンでゲーム以外の動きをチェックしてみます。
▼WEB閲覧(Yahoo!ニュース)、SNS(Twitter)、動画視聴(YouTube)の動作はこんな感じでした。動作は許容範囲でしょうか。↓
ゲーム以外の日常シーンでもハイエンドSoCの恩恵であるキビキビ・サクサクした動きを体感できます。また、ハイエンドSoCの場合は長期的な利用でも軽快な動きを維持しやすいので、一度購入したら4〜5年は使うという人にも実はハイエンドSoCモデルはおすすめです。
ハイエンドSoCを搭載する価格帯になると、メモリやストレージもリッチになっていたり、ディスプレイも非常に滑らかなパネルを採用していたり、タッチ感度も非常に高い傾向なので、このような軽い使い方でもミドルハイよりワンランク高い操作感を得られます。
Snapdragon 8 Eliteのゲーム性能
ライトな使い方は先程検証しましたが、次はゲームを試してみます。検証では重量級ゲームの代表格である原神を使います。
▼グラフィックのデフォルト設定は「高」となっていました。↓
通常の検証では画質を「中」に設定していますが、そもそものデフォルト設定が「高」なので今回は画質を「最高」に設定して検証を行います。その他、フレームレートを60に設定してマップの3箇所をワープ後に4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定します。
なお検証結果により他ゲームでの大体の動作目安も分かります。
- 下限30FPS未満は画質やフレームレートを妥協する必要があったり、それらを妥協しても遊べないゲームが出てくる。
- 下限30FPS以上が出ていれば大多数のゲームは遊べるレベルで動作する。画質を妥協することで大多数のゲームは快適に動作する。
- 下限FPSが60FPSに近づくほど画質と高フレームレートを維持しやすくなる。また下限50FPSを超えるとと大多数のゲームは快適レベルで動作する。(本機はこれに該当します)
▼原神での高負荷時下限フレームレートは58FPSとなりました。↓
原神クラスの重量級ゲームも画質を最高設定にして高フレームレートで遊べる水準のゲーム性能をSnapdragon 8 Eliteは持っているので、執筆時点で最高のゲーム体験をできるSoCと言えます。
また、Snapdragon 8 Eliteを積むランク帯の製品は、高画質化に対応している場合があり、より鮮明なグラフィックでプレイが可能だったり、フレーム補間機能にて120FPSでプレイできる製品もあります。
▼今回検証で使ったREDMAGIC 10 Proもこれらの機能に対応しています。以下はフレーム補間機能により原神では通常選べない120FPSでプレイしている様子。↓
ゲーマー目線で言えば原神クラスのゲームを最高画質+60FPSでプレイするには前世代のSoCでも実現できていましたが、Snapdragon 8 Elite搭載機なら高画質化・フレーム補間機能により更にリッチな体験ができるので、製品を選ぶ際はこれらの機能有無もチェックしていきたいポイントです。
Snapdragon 8 Eliteの動作目安まとめ
Snapdragon 8 Eliteはざっくり言えば前世代から中身がガラッと変わったSoCです。
総合性能もゲーム性能も前世代から大きく進化しており、特にゲームに関しては製品にもよりますが、より良い画質・より高いフレームレートで遊べるようになっています。
また、ハイエンドSoCは基本性能が非常に高いので、長期的な利用でも快適度を保ちやすいです。特にSnapdragon 8 Eliteは生成AI関連の性能も非常に高くなっているので、今後出てくるであろう生成AI機能なども対応できます。
新しい製品を購入する時に性能に一切妥協したくない人はSnapdragon 8 Elite搭載モデルがおすすめです。
Snapdragon 8 Elite搭載製品の一覧
Snapdragon 8 Eliteを搭載する製品は以下です。