2025年7月に登場したSoC「Snapdragon 8 Elite Leading Version」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみました。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」です。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってきます。
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Snapdragon 8 Elite Leading VersionのCPUとGPUのスペック
SoC | Snapdragon 8 Elite Leading Version |
CPU | Oryon CPU:4.47GHz |
GPU | Qualcomm Adreno:1,200MHz |
Snapdragon 8 Elite Leading Versionの処理性能
▼ガルマックスではSoCを6つの性能帯に分けています。Snapdragon 8 Elite Leading Versionは記事執筆時点で最上位クラスのハイエンドに当たるSoCです。↓
今回、処理性能の検証に使用した機種はREDMAGIC 10S Pro/メモリ16GBです
Snapdragon 8 Elite Leading Versionの実機AnTuTuスコア
端末の性能を数値化するAnTuTuベンチマークで実機測定してみましょう。
▼Snapdragon 8 Elite Leading Versionの実機AnTuTuのスコアは総合スコアが2,749,779点、GPUスコアは1,223,547点、UXは403,843点となっていました。↓
Snapdragon 8 Elite Leading Versionは、Snapdragon 8 EliteのOC版(オーバクロック版)で以下の通りクロックが向上しています。
端末名 | CPUクロック | GPUクロック |
Snapdragon 8 Elite Leading Version | 4.47GHz | 1,100MHz |
Snapdragon 8 Elite | 4.23GHz | 1,200MHz |
今回検証を行ったREDMAGIC 10S Proでは、このクロックアップによりCPUとGPUが30%の性能アップ、AI性能は40%アップと謳っていますが、実機ベースでは底までのスコア向上は確認できませんでした。
確かに総合的な性能はSnapdragon 8 Eliteと比較するとわずかに向上していますが、体感ベースで差を感じるシーンは少ないです。
Snapdragon 8 Gen 3以前のSoCを搭載している製品からの乗り換えであれば大きな性能差を体感できますが、既にSnapdragon 8 Elite搭載機を使用している場合、期待値ほどの性能差は感じ取れないかも知れません。
▼以下は2025年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約200万点以上 GPUスコア:約70万点以上 | (ハイエンド)ヌルヌル。動作に不満なし |
総合スコア:約150万点〜200万点 GPUスコア:約50万点〜70万点 | (準ハイエンド)サクサク、重いゲームもOK |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約30万点〜50万点 | (ミドルハイ)重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約10万点〜30万点 | (ミドルレンジ)軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜10万点 | (エントリー)必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | (ローエンド)サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Snapdragon 8 Elite Leading Versionのゲーム以外の動き
Snapdragon 8 Elite Leading Versionを搭載するスマートフォンでゲーム以外の動きをチェックしてみます。
▼ホーム画面操作、WEB閲覧(Yahoo!ニュース)、動画視聴(YouTube)の動作はこんな感じでした。動作は許容範囲でしょうか。↓
上のようなゲーム以外での動作は全く不満を感じない水準です。長期的に利用した場合でも軽快な動作を維持できる性能です。
Snapdragon 8 Elite Leading Versionのゲーム性能
ライトな使い方は先程検証しましたが、次はゲームを試してみます。検証では重量級ゲームの代表格である原神を使います。
▼グラフィックのデフォルト設定は「高」となっていました。↓
検証では画質を「最高」、フレームレートを60に設定してマップの3箇所をワープ後に4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定します。
なお検証結果により他ゲームでの大体の動作目安も分かります。
- 下限30FPS未満は画質やフレームレートを妥協する必要があったり、それらを妥協しても遊べないゲームが出てくる。
- 下限30FPS以上が出ていれば大多数のゲームは遊べるレベルで動作する。画質を妥協することで大多数のゲームは快適に動作する。
- 下限FPSが60FPSに近づくほど画質と高フレームレートを維持しやすくなる。また下限50FPSを超えるとと大多数のゲームは快適レベルで動作する。
- ハイエンド水準のみ検証項目:画質最高設定で50FPSを超えればゲームのプレイで心配する必要はまずなし。(Snapdragon 8 Elite Leading Versionはこれに該当します。)
▼原神での高負荷時下限フレームレートは53FPSとなりました。↓
原神クラスの重量級ゲームで画質最高設定にて高負荷時の下限フレームレートが50FPSを超えており、執筆時点では世界最高峰クラスの性能を誇ります。
この水準であればゲームを快適にプレイできることは当然として、画質を上げつつ高いフレームレートを維持するような映像美と快適性の両立ができる水準です。
Snapdragon 8 Elite Leading Versionの動作目安まとめ
Snapdragon 8 Elite Leading VersionはSnapdragon 8 EliteのOC版ということで、採用メーカーのアピールなどを見て期待していましたが、実機でのベンチ結果は期待値ほどではありませんでした。
Snapdragon 8 Elite比では大きな差を感じることができませんでしたが、Snapdragon 8 Gen 3以前のSoCを搭載するスマートフォンからの乗り換えでは大きな性能差を体感できるので乗り換え候補のSoCとしてはオススメです。
Snapdragon 8 Elite Leading Version搭載製品の一覧
Snapdragon 8 Elite Leading Versionを搭載する製品は以下です。