半導体高騰で手が届きにくくなった携帯ゲームPC。初代GPD Winから追ってきたユーザーの本音

半導体価格の高騰でまたニッチな製品に戻ってしまった携帯ゲームPCについて、初代GPD Winから追ってきたユーザーが思うことについてまとめてみた

ここ数年、円安や半導体製品の大幅値上げにより、携帯ゲームPC(ゲーミングUMPC)は再び手が届きづらい価格帯に戻ってきています。ONE-NETBOOKやAYANEO、GPDといった中華系PCメーカーの製品はもちろん、ASUSやLenovo、MSIといった大手メーカーの製品も同じです。

この記事では、携帯ゲームPCを初代GPD Winから追ってきた筆者(かのあゆ)が感じた所感をまとめてみました。

最初の携帯ゲームPCはえらく「ニッチな」製品だった

▼携帯ゲームPCというジャンルの先駆けは、筆者(かのあゆ)的には今から10年前の2016年10月に中華メーカーのGPD社から発売された初代「GPD Win」です。↓

初代GPD Win

筆者(かのあゆ)は発表当初、別ガジェットメディアで実機レビューを行った後、個人的にも使用していました。

開発元のGPD社は、Android搭載ゲーミングデバイスを多数手がけてきた実績のあるメーカーです。

しかしながら、初代GPD WinはOSのライセンス周りに怪しさを感じたり、そもそも、ゲーミングを名乗りながら、当時のAAAクラスのタイトルが満足に遊べないIntel Atom x7-Z8700を採用するなど、荒削りなプロダクトでした。

一方で、「ゲームに特化したUMPC」というコンセプトそのものは、とても新鮮で、使っていて楽しい製品だったのも事実です。

ただ、正直、ジャンルとしてはニッチすぎて普及することはないだろうなぁ・・・というのが当時の感想です。

内蔵GPUの高性能化と中華メーカーの参戦で魅力的な製品が多数登場した2020〜2023年

Ryzen登場“以前”のノートPC向けCPUに内蔵されているiGPU(内蔵GPU)は、基本的に本格的なゲームのプレイを想定していませんでしたが、AMDが2017年10月に発表したRyzen APUには、強力なゲーム性能を有する「AMD Radeon Vega Graphics」が内蔵されます。

それに触発される形でIntelも2020年9月に、「Iris Xe Graphics(Xe-LP)」を内蔵GPUに採用する第11世代Core(“Tiger Lake”)を発表するなど、内蔵GPUの高性能化が顕著になったのがこの時期です。

これら強力なゲーム性能を有するiGPUは、AAAクラスのゲームも設定を調整すればプレイできる水準だったことから、非常に話題になったことを覚えています。

このあたりからGPDだけでなく、以前から小型のUMPCを多数販売していたONE-NETBOOK社が「ONE-NETBOOK ONE GX」や「ONEXPlayer」を投入、また、CEOが根っからのゲームオタクで有名なAYANEO社やAOKZOE社も参戦します。

その結果、Windowsを搭載する魅力的な携帯ゲームPCが数多くリリースされました。

中華メーカー各社が販売する携帯ゲームPCのビルドクオリティも、2020年代から大きく向上し、この頃からガジェットメディアでも積極的に取り上げられはじめます。

ただ高性能化した分、ローエンドクラスのゲーミングノートに近い価格帯になってしまいました。そのため、まだまだ一般ユーザーにはお勧めしづらいニッチなジャンルという印象が強かったのを今でもはっきりと覚えています。

大手メーカーならではの魅力的な価格設定で登場したASUSのROG Allyで一気に一般ユーザーにも認知されるように

界隈で大きなインパクトを与えたモデルといえば、2023年4月1日のエイプリルフールにASUSが発表した初代ROG Allyです。

初代ROG Allyは、ライバルに匹敵する性能ながら、Ryzen Z1モデルであれば10万円を切る89,800円、上位モデルのRyzen Z1 Extremeモデルでも109,800円と、一般ユーザーでも手の出しやすい販売価格で投入されたのです。大手ならではの充実した販売経路も魅力でした。

▼当初は「ネタじゃないの?」と言われていた初代ROG Ally。筆者(かのあゆ)は今でも愛用しています↓

初代ROG Ally(かのあゆ私物)

なお、ROG Allyの前にValveからSteam Deckが投入されていて、こちらも64GB eMMCモデルであれば、発表当時59,980円と携帯ゲームPCの常識を覆すバーゲンプライスで購入できたのも事実です。

ただ、OSはWindowsではなく、Valveが展開する「Steam」のタイトルをプレイするために開発された、Linuxベースの「Steam OS」です。当時はまだ癖が強く、一般ユーザーにオススメしずらい状況でした。

そのため、Windows 11を搭載する携帯ゲームPCが、大手メーカーから10万円を切る価格で発売されたのは本当に衝撃的でしたね。

その後、第1世代Core Ultraを採用したMSIの「Claw」と、Ryzen Z1 Extremeを搭載したLenovoの「Legion Go」が、ASUSのROG Allyに続く形で投入。こちらも発売当初は「モバイルPC」としてお得感のある価格に設定されていました。

特に、MSIのClaw A1Mは発売後すぐに実勢価格がNintendo Switch 2とほぼ変わらない6万円台にまで値下がりしたことを覚えています。

▼今では信じられない価格でセール販売されていたMSIの「Claw A1M」。↓

MSI Claw A1M

2023〜2025年の大手メーカー製の携帯ゲームPCは、ガジェット系ではないメディアでも紹介される機会が増えたこともあって、一般ユーザーにも広く認知されるようになったのもこの時期です。

生成AI需要によるメモリ・ストレージ製品の高騰でまたニッチな製品に戻りつつある

2025年12月末から、生成AI需要によるデータセンター向けのメモリ・ストレージ製品の買い占めが始まり、価格が高騰します。

その結果、大手メーカーの携帯ゲームPCもパーツ価格の高騰を企業努力で転嫁することが難しくなり、2026年に入ってからは大幅な値上げを行わざるを得なくなりました。

例えば、驚異的な安さを売りにしていたValveのSteam Deck(OLEDモデル 512GB)は、2023年11月の発売当初の84,800円から137,980円に値上げされています。

▼発売当初、OLEDパネルを採用しながら10万円を切っていたSteam Deckも今や約14万円・・・↓

Steam Deck(OLED)

▼先日販売が開始されたASUSのROG XBOX ALLY X20に至っては、販売価格が258,800円です。↓

ROG XBOX ALLY X20

ディスプレイが120Hz表示に対応するOLEDパネルにアップグレードされているとは言え、上位クラスのモバイルノートとほぼ同じ価格。もう気軽に手を出せる価格ではないですね・・・。

先行していたGPDやAYANEO、ONE-NETBOOKの携帯ゲームPCは、現在でも日本国内で正規販売されていますが、プレミア路線に移行していて、20〜30万円台の製品が中心となってしまいました。

まとめ

メモリ・ストレージ製品の価格高騰の影響は携帯ゲームPCのみならず、競合になるNintendo Switch 2やPlayStation 5、Xboxといった家庭用ゲーム機やスマートフォン・タブレットにも及んでいます。

携帯ゲームPCは、ゲーム性能が高くなったとはいえ、設定を落とさないとAAAクラスのゲームを快適にプレイすることが難しいですし、価格が高騰して20〜30万円するのであれば、ガジェットマニアでも投資に躊躇するのではないかと思っています。

低価格なSteam DeckやROG Ally等のおかげで一般ユーザーにも、気軽にPCゲームをプレイできる「携帯ゲームPC」として認知されつつあるなか、この状況が長期化すると、また「ガジェットマニア向けのニッチで高価な製品」という立ち位置に戻ってしまいそうですし、下手すると携帯ゲームPCというジャンルそのものが消滅する恐れもあります。

とはいえ筆者(かのあゆ)は、この状況が長く続くとは思っていません。PCパーツの価格高騰は定期的に見てきたこともあり、いずれは収まると思っています。が、その「いずれ」がいつ来るか分からないため、非常にもどかしい思いをしている状態です。

▼そのような状況で、今でも約6万円で購入できるNintendo Switch 2(日本語・国内専用モデル)は凄いですね。↓

Nintendo Switch 2

値上げされたとはいえ、あれだけのスペックで59,980円(国内専用モデルの場合)という価格を維持できているのは驚きです。ゲーマーだけでなく、本来のターゲットとなる子供のことも考えているメーカーだなぁと感心してしまいますね・・・

長々と書いてきましたが、世界的なメモリ・ストレージの価格高騰が収束し、以前のような活気を取り戻し、魅力的な携帯ゲームPCが数多く登場することに期待しています。新たな製品が登場したらまた紹介しますね!

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