HUAWEIは”負のレッテル”を剥がすことが一番大変
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どうも、ガルマックスのナオキです。
HUAWEIが米国からの制裁でシャレにならんほどの大きな打撃を受けています。Googleとの取引一部停止、ARM取引停止、SDなどのライセンス剥奪・・・AndroidスマートフォンをリリースするHUAWEIは窮地に追いやれている状況であることは間違いありません。
ライブドアニュースによると、HUAWEIへの制裁が始まってから1週間足らずでシェアが1/3に激減したと報じています。また、海外でもキャンセルが多数発生したり、いよいよ表面化してきました。
ガルマックスでは米国によるHUAWEIへの制裁に関して深く言及してこなかったのですが、いろいろと聞かれることも多いので筆を執った次第です。
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HUAWEIは今こんな感じ
現在、分かっているだけでも・・・
- 今後、HUAWEIが発売する端末でGoogleが著作権を持つアプリ(GmailやアプリをダウンロードするPlayストアなど)が利用できなくなる可能性がある
- SoC(スマートフォンの頭脳のようなもの)の製作レシピを作ってるARMとの取引も禁止されハードウェア開発にも影響する可能性がある
- SDカードなどのライセンスも剥奪される
- 市場ではHUAWEI製品の発売見合わせ
などなど。
そのような情報が飛び交う中、ガルマックスには以下のようなコメントや意見がたくさん来ました。
- HUAWEIは今回の騒動を予測しており、すでに事前準備を進めている
- 独自OSを開発している
- 独自のアプリストアも準備している
- HUAWEIはメディアに対し「ハードウェアはHUAWEIだけでも作ることが出来る」と言及している
- MicroSDが利用できなくなることを想定してNMカードも作っていた
などなど。
僕は客観的にそれらのコメントを見ていたのですが、僕はこう思うんです。
HUAWEIが本当に恐ろしく感じているのは技術制限ではなく、人々に貼られた負のレッテル
個人的にHUAWEIの技術力があれば、独自OSの開発や端末の製造などは今回の制裁で大きな壁はできるものの、実現できなくはないと思っています。
もちろん、様々な技術、仕組みを知った上で新たに開発・製造するので時間・労力・金はもちろん、様々な面で訴訟問題に発展するだろうから相当険しい道になると思いますけど。出来ないことはないと踏んでます。
一部のITリテラシーの高い方は
- Googleサービスは自力で入れると良いでしょ
- アプリが利用できないものはブラウザー版使えば問題ない
- Android OS自体はオープンなのだから、Amazonみたいに独自開発すると良い
などなど、突破口や前向きな意見を頂くのですが、HUAWEIが本当に恐れているのは技術的なことよりも、人の心に貼られた負のレッテル(HUAWEIに対するマイナスイメージ)ではないかと思います。
人は基本的にリスク回避する
様々な制裁、発売延期、キャンセル・・・この様なマイナス情報を知った方々がリスク回避するために自発的に「HUAWEIはやめとこう」ってなることが恐ろしい部分。まさに負のレッテル。
先程、突破口や前向きな意見に関して触れたのですが、この様な考えに到達する方って基本ITリテラシーの高い方です。
で、日本だけではなく世界中でこの様に前向きに捉えられる方は少数派。
大多数の方は、生活する上で必要不可欠となったスマートフォンを「コミュニケーションの道具」として利用しています。
つまり、HUAWEIに対する負のレッテルが貼られた現在、多くの方は
「HUAWEIを応援したいからHUAWEI端末を選ぼう」
ではなく
「HUAWEIってなんかヤバイんだって。他のメーカー選ぼう」
って感じにリスクを回避するんです。至って真っ当な考えです。
なぜかって?そりゃ、自分で金出して購入するわけで選ぶ権利が有るんだから、不安がある製品は避けるでしょ。僕だって知らないジャンルの製品を選ぶ時は不安がある製品は避けてより良いと感じる製品を選びます。
なので、特にスマホを生活の必需品として利用している大多数の方は後者の「HUAWEIってなんかヤバイんだって。他のメーカー選ぼう」って考えになるはずです。これはHUAWEIが避けたかったところで、一生懸命に安全性やサポートに関してプレゼンしてましたが、そんなに響かなかったようです。
HUAWEIには気の毒に思う
HUAWEIが情報を中国政府に漏洩しているだとかいろいろ言われていますが、ホントのところは良く分かりません。そんなことってずいぶん前から言われてましたけど、HUAWEI端末は売れに売れまくってましたしね。
でも、今回の制裁は完全にHUAWEIの息の根を止める為に動いたんだと直感的に感じました。人の心にべったり貼られた負のレッテルは、HUAWEIをじわじわ蝕んでいくでしょう。
HUAWEIには気の毒に思います。
僕もHUAWEI端末は嫌いじゃなかったですし、毎回ワクワク・ドキドキさせてくれるので、どちらかと言えば好きなメーカーです。でも、トランプ氏が制裁発動した瞬間に「もう止められない」と感じたのも事実です。
HUAWEIは様々な疑いをかけられ、証拠を出してくれと言い続けてますし、一昔まえなんかHUAWEIをアメリカに売っちまおうとか考えてあと一歩のところまで話が進んでいたくらいです。
そんな事情も知っているもんだから、僕はHUAWEIを気の毒に思います。
始まった不安の波及。これはもう手遅れだ
多くの方々を「不安」に陥れたHUAWEI制裁報道。
「あー、これはもう手遅れだ。」
これが僕が一発目の制裁報道を見た瞬間に頭によぎったことです。
実は、この様な報道があった時期に一部のガルマックスガジェットニュースライターさんには同じ様な話をしていました。
技術云々より、スマートフォンをツールとして利用している一般層の方が「HUAWEIってヤバイらしいよ」って結論付けて広がる事が一番取り返しのつかないことだと思うって。
そして、やっぱりそうなっちゃいました。
冒頭でお話したとおり、大幅にHUAWEIのシェアが大幅に下落。キャンセルの嵐。信頼性がドドドーっと崩れた事が表面化したことで、さらにHUAWEI離れは進むでしょう。
もう、どんな事を言っても「HUAWEI離れ」は加速する一方
日本で今回の制裁がドカーンと広がったのがWEBメディアからの情報発信。その後、連日テレビのニュースメディアで取り上げられました。
「Googleサービスが使えなくなるんだって」
「いまHUAWEI使ってんだけどどうなるの?」
「HUAWEIってヤバイんだって」
「なんか、HUAWEIの新機種が発売予定未定になったみたいだよ」
これらの話題が、ITリテラシーの高い方の中ではなく、それほどスマートフォンに興味が無い方も会話の話題に取り上げ始めたんです。
僕とは正反対のアナログ人間でHUAWEIのファの字も知らない妻が「HUAWEIってヤバイんでしょ?」って話題を振って来た時に、「あぁ、本当のHUAWEI排除が始まった。」って思いました。
”何がヤバイ”とか難しい話はどうだっていいんです。ヤバイ=不安要素と感じるから話題を共有しながら無意識に結論付けるんです。「HUAWEIってなんかヤバイんだ。」って。
特に「Googleのサービスが利用できなくなる」って事が凄く響いたようです。
なんてったって、Androidスマートフォンは基本Googleサービスのオンパレードで、多くの人の生活に入り込んでいるのですから、「Googleが著作権を持つGmailや、アプリをダウンロードするストアなどが今後のHUAWEI端末では利用できなくなる可能性がある」という短い文章のインパクト・打撃力は計り知れません。
そして、完全に息の根を止めるべく、その後も次々に取引停止発表が続き、もはやHUAWEIが「こうなることを想定していたので準備していた」、「自社だけでソフトウェアからハードウェアまで作れる」というプレゼンや、ITリテラシーの高い方が言う「HUAWEIは技術力は高いので代替策や独自OSでどうとでもなる」とう発信も大きな負のレッテルの波にかき消されてしまっています。
もう止められないところまで来ちゃってると思います。
最後に
僕はHUAWEI潰れろ!とも思っていないし、HUAWEIの端末も嫌いじゃない。会長さんが中国のメディアから受けたインタビューを見た時は心痛くなってしまったし、とても気の毒だと感じた。
でも、スマートフォンを生活の必需品と考え、コミュニケーションツールとして利用する方々の心の奥底に貼られた負のレッテルは簡単に剥がれません。無意識のうちに自身の除外リストに「HUAWEI」が刻み込まれ、自然とリスク回避して離れていく。リスクを回避するのは悪いことじゃない。そうなるのは当然のことだと思う。
これからHUAWEIがどの様な道を進むのか。
画期的な独自OSとアプリストアを備えたスマートフォンが登場し、改めて注目されるかも知れない。ビックリするようなハードウェアを開発して驚かせてくれるかもしれない。
でも、その様な端末に興味を示すのはHUAWEIが大好きなファン層、僕みたいな情報発信者、ガジェッターが大半で、一般層の方々が負のレッテルを自ら剥がしHUAWEIを選ぶという考えに至るのは難しいと思う。
高性能で安価なスマートフォンを次々と打ち出し日本のスマートフォン市場を圧巻したHUAWEI。独自OSの開発よりも、完全に自社でハードウェア製造するよりも、負のレッテルが貼られてしまった人々の心を動かすことが一番難しい問題かも知れない。
考え方は人それぞれなので、1人のガジェット好きなおっちゃんの考えとして捉えて頂ければと思います。
おしまい