2023年4月に登場したエントリーのSoC「Dimensity 6020」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみた。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」である。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってくる。
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Dimensity 6020のCPUとGPUのスペック
SoC | Dimensity 6020 |
CPU | Cortex-A76 ×2 Cortex-A55 ×6 |
CPU周波数 | 2.2GHz |
GPU | Mali-G57 MC2 |
GPU周波数 | – |
Dimensity 6020の処理性能
▼Snapdragonは大きく4つの性能帯に分かれていて、Dimensity 6020は一番性能帯の低いエントリー帯のSoCとなる。↓
本記事で使用する製品は以下。
Dimensity 6020の実機AnTuTuスコア
それではDimensity 6020を搭載する端末の実機AnTuTuのスコアを確認してみよう。
▼総合スコアは380,597点、GPUスコアは60,081点、UXは94,149点となった。↓
知っている人も多いかと思うが、Dimensity 6020はDimensity 700のリネーム品とされていて基本的に仕様が変わらないのだ。
Dimensity 700は2020年にミドルレンジ帯のSoCとしてリリースされたが、2023年にリネームされ登場したDimensity 6020はエントリー帯という立ち位置となっている。
操作の快適性を示すUXは10万点を超えると快適とされているが、Dimensity 6020はやや届かずといったところ。とは言っても、2024年時点だと新世代エントリーとも言える性能を持っており、エントリー帯としては性能の高い部類である。
▼以下は2024年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約150万点以上 GPUスコア:約60万点以上 | ヌルヌル、動作に不満なし |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約35万点〜60万点 | 重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約15万点〜35万点 | 軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜15万点 | 必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Dimensity 6020のゲーム以外の動き
Dimensity 6020を搭載するスマートフォンでゲーム以外の動きをチェックしてみた。動作が許容範囲か確認してみよう。
▼Dimensity 6020を搭載するスマートフォンでWEB閲覧(Yahoo!ニュース)、動画視聴(YouTube)、SNS(Twitter)を操作している様子。↓
エントリー帯といっても2023年ミドルレンジに近い性能は持ち合わせているので、上のようなゲーム以外の使い方ではストレスは少なめである。
Dimensity 6020のゲーム性能
ライトな使い方は先程検証したが、次はヘビーな使い方を試してみる。ヘビーな使い方の代表といえばゲーム。ここでは「重量級3Dゲーム」「軽めの3Dゲーム」の2つで試してみる。
- 原神:重量級3Dゲーム
- PUBGモバイル:軽めの3Dゲーム
多くのゲームを楽しめるレベルで遊びたいなら原神は画質「中」設定で下限30FPS以上、PUBGモバイルは下限50FPS以上で遊べるスマホを推奨している。
▼まず重量級となる原神から。グラフィックのデフォルト設定は「最低」となっていた。↓
上記から画質設定を「中」、フレームレートを60に設定後、マップの3箇所をワープで移動して4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定する。
▼下限フレームレートは11FPSとなった。↓
原神では画質「中」設定でも高負荷時に30FPSを大きく下回ってしまった。画質を更に低や最低に落とすこともできるけれど、その場合はウリである美しいグラフィックを捨てることになる。まあ画質を低や最低に落としても高負荷時に30FPSを割ることがあるので、原神をプレイするには全くパワーが足りない。
続いてはPUBGモバイル。2017年にリリースされたゲームで当時は重量級だったが、SoCの高性能化も進んだので現在は軽めの3Dゲームとして検証に使っている。PUBGモバイルで画質設定を下げた時に選べるフレーム設定の設定幅で上限フレームレートが決まってくる。
▼PUBGモバイルはフレーム設定「ウルトラ」まで開放。上限40FPSでプレイ可能だ。↓
PUBGモバイルの検証は、スモークを4つ撒いて高負荷状態を作り、スモークが切れるまで突入を繰り返して下限フレームレートをチェックする。
▼PUBGモバイルの下限フレームレートは31FPSだった。↓
PUBGモバイルなどシューティングゲームはフレームレートが高いほど有利となるジャンルだが、そのそもの上限が40FPS止まりとなる。また、高負荷時は下限30FPSをなんとか維持できるレベルであった。
ガルマックスではシューティングゲームを本格的に遊びたい人に対してフレームレート重視の設定で下限50FPS以上の製品をオススメしているが、その基準には残念ながら達していない。
という訳で、Dimensity 6020は一般用途なら必要十分な性能を持ているけど、ゲーム用途では多くの妥協を強いられる場合も。また、それでもなお遊ぶには厳しい場合もある。ゲーム用途で選ぶSoCでは無い。
Dimensity 6020の動作目安まとめ
Dimensity 6020はDimensity 700のリネーム品ということである程度の性能は把握できていたが、実際の検証ではやっぱり性能は変わらずといったところ。
ミドルレンジとしてなら執筆時点の2024年だと物足りない性能なのだけど、エントリー帯としては新世代のSnapdragon 4 Gen 2と同等性能となっているので、エントリー帯としてみれば2024年では高性能な部類と思ってOK。
とは言え、絶対的な性能は高くはないので、WEBブラウジング、動画視聴、SNSなど一般用途向けのSoCと考えておこう。
Dimensity 6020搭載製品の一覧
Dimensity 6020を搭載する製品は以下です。