2024年に登場したミドル帯のSoC「Dimensity 7300-Ultra」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみました。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」です。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってきます。
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Dimensity 7300-UltraのCPUとGPUのスペック
SoC | Dimensity 7300-Ultra |
CPU | Arm Cortex-A78:2.5GHz ×4 Arm Cortex-A55:2GHz ×4 |
GPU | Arm Mali-G615 MC2 |
Dimensity 7300-Ultraの処理性能
▼Snapdragonは大きく4つの性能帯に分かれています。Dimensity 7300-Ultraは標準的なミドル帯のSoCです。↓
本記事で使用する製品はRedmi Note 14 Pro 5Gのグローバル版です。
Dimensity 7300-Ultraの実機AnTuTuスコア
端末の性能を数値化するAnTuTuベンチマークで実機測定してみましょう。
▼Dimensity 7300-Ultraの実機AnTuTuのスコアは総合スコアが678,802点、GPUスコアは145,343点、UXは169,050点となっていました。↓
Dimensity 7300-Ultraは、Dimensity 7300をカスタマイズしたSoCです。
操作の快適性を表すUXスコアは10万点を超すと快適と言われていますが、Dimensity 7300-Ultraはミドル帯ながら大きく上回る結果となりました。
総合的な性能はミドルレンジでは2025年時点で中上位クラスの性能です。ゲーム性能を示すGPUスコアも15万点に迫る勢いとなっており、多くのゲームが遊べる水準を示しています。
少し注意したい点は、前モデルにあたるDimensity 7200-Ultraよりも性能が低いということです。
前モデルはARM Cortex-A715 ×2/ARM Cortex-510 ×6という8コア構成でしたが、Dimensity 7300-UltraはArm Cortex-A78×4/Arm Cortex-A55×4の8コア構成となっており、順当にCPU性能が進化しているものではありません。
型番の古いほうが高性能という状況になっているのでご留意下さい。
▼以下は2025年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約150万点以上 GPUスコア:約60万点以上 | ヌルヌル、動作に不満なし |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約35万点〜60万点 | 重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約15万点〜35万点 | 軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜15万点 | 必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Dimensity 7300-Ultraのゲーム以外の動き
Dimensity 7300-Ultraを搭載するスマートフォンでゲーム以外の動きをチェックしてみます。
▼ホーム画面操作、WEB閲覧(Yahoo!ニュース)、動画視聴(YouTube)の動作はこんな感じでした。動作は許容範囲でしょうか。↓
基本的な動作は非常に快適です。Dimensity 7300-Ultraを搭載する製品クラス(例えば本検証で使用しているRedmi Note 14 Pro 5Gなど)は120Hzの高リフレッシュレートに対応する製品も多いですが、高リフレッシュレート状態もしっかり維持できておりコマ落ちするようなカクツキもみられません。
Dimensity 7200-Ultraは基本性能が高く安定した動作を長期的に見込めます。
Dimensity 7300-Ultraのゲーム性能
ライトな使い方は先程検証しましたが、次はゲームを試してみます。検証では重量級ゲームの代表格である原神を使います。
▼グラフィックのデフォルト設定は「最低」となっていました。↓
検証では画質を「中」、フレームレートを60に設定してマップの3箇所をワープ後に4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定します。
なお検証結果により他ゲームでの大体の動作目安も分かります。
- 下限30FPS未満は画質やフレームレートを妥協する必要があったり、それらを妥協しても遊べないゲームが出てくる。
- 下限30FPS以上が出ていれば大多数のゲームは遊べるレベルで動作する。画質を妥協することで大多数のゲームは快適に動作する。本機はこれに該当します。
- 下限FPSが60FPSに近づくほど画質と高フレームレートを維持しやすくなる。また下限50FPSを超えるとと大多数のゲームは快適レベルで動作する。
▼原神での高負荷時下限フレームレートは31FPSとなりました。↓
原神クラスのゲームを高画質設定で高フレームレートを維持するにはパワー不足ですが、画質を下げるとゲームを楽しめるレベルで遊べます。
Dimensity 7300-Ultraは高いゲーム性能ではありませんが、画質設定を下げるなど調整を行うことで、多くのゲームは楽しめるレベルで動く水準です。
Dimensity 7300-Ultraの動作目安まとめ
Dimensity 7300-Ultraはミドル帯のSoCとしては性能も高くサクサクした操作感を得られるSoCでした。ゲーム性能は非常に高いという訳ではありませんが、一定の性能水準はクリアしており多くのゲームは楽しめるレベルで遊べます。
ゲーム性能はそれほど高くないですが、日常使い+暇つぶしにゲームを遊ぶくらいだから動くゲームで十分という人は長期的に安定した動作を見込める水準のSoCと鳴っています。
メーカーの命名ルールがややこしく、前モデルにあたるDimensity 7200-Ultraよりも性能が低いので型番だけで性能を判断するのは危険です。
Dimensity 7300-Ultra搭載製品の一覧
Dimensity 7300-Ultraを搭載する製品は以下です。