iPhone6sの「ドコモBand21非対応」は悲観ではなく期待。

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GARU(@GaruJpn)です。

iPhone6sシリーズ発表後、docomoとauからキャリアアグリゲーション(以下CA)について発表があり高速通信合戦が激化。

ガルマックスではdocomo系の格安SimやSimフリーのいわゆる格安スマホ取り扱うため、docomoの回線網事情が気になります。

docomoでiPhone6sのCA対応発表の内容から今後の電波戦略が見え隠れ。私は期待します。

国内において非常に強力なiPhoneシリーズをBand21非搭載でリリース出来るということは、1.5GHzのBand21は現状私たちに大きく影響しないBandということを先に伝えておきます。

記事が長くなりますので複数ページに分けています。

Bandについて。

日本国内ではdocomo、au、SoftBankの大手キャリアがそれぞれ回線網を保有。各キャリアがそれぞれ個別のBand(周波数)で電波を流し、スマートフォンなどの端末でキャッチ。なんだかラジオみたいですね。

この様に各キャリアで周波数を個別に分けないと混線してしまいます。また、周波数帯により得意不得意(建物に回り込みやすい、高速通信しやすいなど)があり、例えばdocomoでは以下のようにLTEの電波を複数のBandで流し安定かつ高速な通信網を構築、提供しています。

Band帯域エリア最大速度
12GHz全国112.5M
31.7GHz東名阪の一部150M
19800MHz全国75M
211.5GHz地方都市の一部112.5M
28700MHz2015年導入予定

主要はBand1とBand19でどちらも全国区をカバー。特に800MHzのBand19は建物を回りこむことが得意で電波の掴みやすさからプラチナバンドと呼び、特に価値のある周波数であることが伺えます。郊外、山間部、地下などの電波の掴みやすさはプラチナバンドの有無で大きく変わります。

ちなみにdocomoの800MHz帯プラチナバンドは「FOMAプラスエリア」としてエリアマップに表示されており、さらに3G回線であるBand6も内包。つまり800MHz帯にLTEと3Gの二刀流ってわけです。だから郊外でも地下でも山間部でも電波を掴みやすい。

上記の主要バンドをメインに、さらなる高速化を図るためにBand3やBand21を拡大中。

docomoは通信速度が遅いというレッテル。

docomoではFDD-LTE網しか保有していない。一方、auやSoftBankは通信網を保有するMNOの買収などで連合体制。それによりauではWiMAX 2+、SoftBankではAXGPといったTD-LTEも同時提供が可能。一極集中のdocomoより通信速度が出やすい。

この部分をdocomoは突かれ「docomoは遅い」というレッテルが一般的に広まり、docomoとしては高速通信網を拡大し何としてでも「遅い」というレッテルの排除に必死なのです。

auやSoftBankの攻勢を覆すためにFDD-LTEのBand3、Band21を各地に配置し、キャリアアグリケーション技術「Premium4G」にiPhone6s及びiPhone6sPlusで最大受信速度262.5Mという他社の通信速度を圧倒する速度でぶつけてきた。

キャリアアグリゲーションとは。

まずはじめにCAについて簡単に説明。現在各キャリアでは複数のBandを束ねてより高速な通信が可能となるキャリアアグリゲーションに注力しています。

↓docomoのCAイメージ

img_02

この様に複数のBandから2つを束ね同時受信することにより高速通信が可能。最大通信速度の計算も単純で2つの受信速度の合計。さらにdocomoは複数の組み合わせも実現しているとアナウンスしている。

以下、すべてのCAをまとめてみた。

組み合わせ最大受信速度
Band1+Band3262.5M
Band1+Band21225M
Band1+Band19187.5M
Band3+Band19225M
Band3+Band21262.5M

CA対応の機種(LTEのカテゴリー6に対応していもの)であれば「Premium4G」を活用でき、もちろんiPhone6s/PlusもCAに対応している端末。が、しかし。。。

iPhone6s/PlusはBand21に非対応。

つまりBand21と組み合わせるCAは活用できない。

docomoはかつてよりFDD-LTEでの高速化を図り、地方都市向けにBand21を展開。東名阪では様々な問題でBand21を扱えない場所があり、1.7GHz帯であるBand3を導入して各地の通信高速化を整備してきた。

後にくるCAのためにも複数の高速通信Bandを用意すことは必須で、iPhoneの取り扱いまでは順調に思えたが、iPhoneシリーズではBand21を非搭載。つまりdocomoのiPhoneでBand21は使いものにならない。

docomoはAppleにBand21対応を望んだがAppleは対応してはくれない。

それもそのはずである。

Band21はガラパゴスバンド。

Band21は日本国内かつdocomoしか使っていないキングオブガラパゴス。

iPhoneを取り扱うまでの端末事情であればそれでよかった。主に国内メーカー機種というラインナップで、各国内メーカーもdocomoの電波事情に柔軟に対応。

Bandに関しては国際的な標準化団体の3GPPで決められており、それに沿った形で日本国内も運用していますが、そこからはみ出す形のBand21に関してはiPhoneシリーズにかぎらず、Simフリー端末などグローバル展開している製品においてBand21対応製品は非常に稀である。

つまりキングオブガラパゴスバンドなぞ見向きもしないわけだ。Appleに「国際的主要バンドは対応してるんだから文句言うな。」と言われるのも頷ける。

しかしiPhoneは重要な立ち位置の製品。

iPhoneはdocomoの電波戦略における大きな弊害であるとともに、iPhoneは非常に重要な製品。

なぜなら日本国内においてiPhoneシリーズの需要はあまりにも高く、docomoとしてもiPhoneは切ることの出来ない重要な端末であるからだ。実に国内で普及しているスマートフォンの半数はiPhoneシリーズという具合。

Premium4G発表から探るdocomoの電波戦略。

私はiPhone6sシリーズでのBand21に関して注視していた。なぜなら高速通信技術であるCAをすすめるにあたりiPhone6sでBand21の有無は今後の電波戦略に大きく関わるからだ。

docomoが発表した「Premium4G」でiPhoneとAndroidで提供エリアが変わっている。

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つまりdocomoが発表したiPhone6sシリーズのCA通信速度262.5MはBand1とBand3の組み合わせであり、Android端末で対応する通信速度225MのBand1とBand21の組み合わせと提供エリアが異なることからBand21非対応は確定的である。

つまりiPhone6sで利用できるCAは

  • Band1+Band3
  • Band1+Band19
  • Band3+Band19

上記の組み合わせしか無い。しかもBand3は東名阪のごく一部で提供されているものなので262.5Mと大々的に発表しているが、現状は使いものにならない。

現状でCAの恩師を受けやすい組み合わせは、全国展開しているBand1とBand19の組み合わせ(現在は整備中で国内の一部で提供)が最も私達が活用出来るCAといえる。

Band1とBand19は全国カバーBandなので整備が整い次第、急ピッチで提供エリアが拡大でき、全国規模での通信速度向上が期待できる。しかしこの組み合わせは「最高速度」といった観点で訴求力はない。

「iPhone6sシリーズで262.5M」というカードを出したdocomoは1.7GHz帯の拡大も急ピッチ進めてくるだろう。

つまり今後積極的に全国展開されるバンドは1.5GHzではなく1.7GHzのBand3の可能性が濃厚であり、Band1、Band3、Band19のトリプルLTE展開に期待。

格安スマホもBand21非対応を悲観しなくて良くなる。

格安Simを提供しているMVNOが利用している回線網はほぼdocomo網。

しかし、安く購入できるいわゆる格安スマホのSimフリー端末はグローバル展開されている製品。ほぼBand21が非搭載である。

しかし、docomoの電波戦略で1.7GHz帯を普及させれば格安スマホにおけるBand21も気にしなくて済む。

国際的なBandを強化することにより、グローバル展開されているSimフリースマートフォンでも最良のサービスを提供できる。

今後はBand21よりもCA対応機種であるかが注視されると思われる。

iPhone6sのBand21非対応でdocomoのバンドはより国際標準へ。

もう無視することの出来ないiPhoneシリーズ。今までのdocomoにおける電波思想はiPhoneの取り扱いによって大きく変わったのではないだろうか。

ガルマックスでは格安Simや格安スマホを取扱っているので、docomoの回線網においては他のキャリアよりも重要視しています。

もともと全国をカバーするBand1とBand19のCAで通信速度を底上げしつつ、最大受信速度262.5Mbpsをひっさげてエリア拡大を急ピッチで進め、最終的には国際標準バンドを全国展開。

さらに2015年導入予定の700MHzであるBand28。もちろんiPhone6sに対応。

今後CAの技術向上で4つの電波を掴める様になることを見越してBand28も拡大する可能性は極めて高いといえる。クアッドLTEの誕生である。

今までauやSoftBankからつつかれ耐えてきたが、いよいよdocomoの攻勢に移るかもしれない。

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