ソニー、フラグシップミラーレス一眼「α9 II」を発表。「α9」からの進化ポイントは?
ソニーはミラーレス一眼カメラ「α9 II」(ILCE-9M2)を発表しました。
価格はオープンで、予想実勢価格は55~60万円前後。2019年11月1日発売予定です。予約受付はソニーストアでは2019年10月9日10時より開始されます。
約2年半ぶりにフルサイズミラーレス一眼のフラグシップモデルが発売ですが、現行モデル「α9」からどのような進化を遂げたのでしょうか?
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「α9 II」の新機能
新モデル発表といえばとにかく新機能が気になるところですが、現行モデル「α9」は9月のファームウェアver.6.0にて、
- リアルタイム動物瞳AFの対応
- トラッキング追従中にも動物の瞳へフォーカスが可能
という、大型アップデートが行われました。それ以前のファームウェアでも瞳AFの追加や動作の改善などが逐一行われており、「α9」はファームウェアアップデートだけで発売時よりかなり進化しています。
それを踏まえて「α9 II」は現存する機能を強化し「少数精鋭の新機能追加」といったところでしょうか。それでは新機能を見ていきましょう!
高速データ転送機能を複数追加
「α9 II」で追加されている転送機能は下記の通りです。
- 1000BASE-T対応LAN端子を内蔵
- FTPS(File Transfer Protocol over SSL/TLS)規格に対応。SSLやTLSでの暗号化が可能に。
- Wi-FiはIEEE 802.11ac規格対応
「α9 II」はプレスリリースにて「スポーツや報道のプロフェッショナルの撮影とワークフローを強力にサポート」とあり、対象ユーザーが報道などの現場で活躍する方々と想定されます。即納が求められるプロユースの場合、高速ネットワーク対応は必須機能でしょう。来年の東京オリンピックを見据えている新機能とも言えますね。
画像に音声メモ付与
「α9 II」では再生画像データに音声入力で撮影内容などの音声メモを記録できるようになりました。記録時間は最大60秒。どのような状況での撮影だったか、撮影場所などを付与して送信すれば、記事の執筆などに役立てることが可能です。
またモバイル用のアプリ「Transfer & Tagging add-on」を利用すれば、転送時に音声を認識・変換して、テキストデータ化されます。このテキストデータはアプリ上で画像データにIPTCメタ情報として、自動付与することも可能です。
「Transfer & Tagging add-on」はFTPバックグラウンド転送にも対応しており、モバイル環境のみの状態でも、撮影から転送までを可能にしているとのこと。納品までをアプリ一つで完結できるのは非常に便利ですね。
USB type-C対応
従来のマイクロUSB端子に加え、充電と給電に対応したUSB type-Cが追加されました。充電とデータ転送速度の速いUSB type-Cが搭載されたことは、かなり嬉しいポイントでしょう。
またUSB type-Cの搭載により、PCリモート撮影時の撮影がより快適になったとのこと。実際の使用感は明らかになっていませんが、期待できるのではないでしょうか。
Zバッテリー2個搭載可能な縦位置グリップへ対応
2019年9月発売の「α7R IV」と同時発売された縦型グリップ「VG-C4EM」が、「α9 II」にも対応。
「VG-C4EM」はZバッテリーを2個搭載できることが特徴で、長時間撮影を可能にしています。バッテリー交換はスライド式を採用しており、交換も簡単です。
ホールディング性の高いグリップ形状と防塵・防滴対応で、長時間撮影するユーザーにとっては必需品とも言えるでしょう。
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「α9」から「α9 II」の進化・強化ポイントは?
ユーザーによっては「新機能が少なめ?」と感じる「α9 II」ですが、「α9」で現存する機能を強化しているポイントが多数あります。
どのようなことがアップデートしているか、見ていきましょう。
- 手ブレ補正効果:5段→5.5段
(手ブレ補正方式としては5段のまま) - メカシャッター連射:最高約5コマ/秒→最高約10コマ/秒
- デュアルメディアスロットが両方UHS-II対応に
- デジタルオーディオインターフェイス:非対応→対応
- 撮影枚数の増加
ファインダー:約480枚→約500枚
液晶モニター:約650枚→約690枚 - フリッカー防止撮影モード搭載(フリッカーレス撮影対応)
- AFアルゴリズムの最適化によるAF性能の向上
- 防塵・防湿設計の強化
- グリップ構成の改善
- ボタンの大きさ、デザインと感触を改善
発売後に実機を触ってみると、もっと強化ポイントが見つかるかもしれませんね。
用途を見極めて購入を検討すべき機種かも?
「α9 II」発表前、新機能・強化ポイントの予想がユーザー間で行われていましたが、今回の発表を受けて「ちょっと期待外れかも・・・」と評価するユーザーは少なくないようです。
例えば下記の点が改善されていなかったのが、残念なポイントという意見が多く見受けられました。
- 有効画素数がそのまま(2420万画素)
- α7R IVで採用された「UXGA OLED 576万ドットEVF」ではなく、α9と同じ「UXGA OLED 368万ドットEVF」
- センサーの進化なし
- 動画性能据え置き(4K30p)
ただ裏を返せば、それだけ「α9」という機種が魅力的だとも言えます。また「α9 II」はプロユースと銘打っており、今回の機能追加・強化はプロ向けの機能に絞ったとも推測できるでしょう。
安くない買い物だけに、新規購入ユーザーや「α9」からの乗り換えユーザー共に「α9」との比較と価格差をしっかりと行った方がよさそうですね。