2022年9月に発表されたミドルのSoC「Snapdragon 6 Gen 1」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみました。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」です。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってきます。
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Snapdragon 6 Gen 1のCPUとGPUのスペック
SoC | Snapdragon 6 Gen 1 |
CPU | Arm Cortex-A78 × 4 Arm Cortex-A55 × 4 |
CPU周波数 | 2.21GHz |
GPU | Adreno 710 |
GPU周波数 | – |
Snapdragon 6 Gen 1の処理性能
▼Snapdragonは大きく4つの性能帯に分かれています。Snapdragon 6 Gen 1は標準的なミドルです。↓
本記事で使用する製品は以下。
▼端末の性能を数値化するAnTuTuのスコアを確認してみましょう。総合スコアは546,968点、GPUスコアは110,930点、UXは129,549点となっていました。↓
操作の快適性を表すUXスコアは10万点を超えると快適とされていますが、Snapdragon 6 Gen 1は13万点を突破しています。実質的な前SoCとなるSnapdragon 695 5Gが約10万点でしたので、快適性もグッと向上しています。
CPU性能も50万点を突破しており、ミドル機としては非常に高い性能を持っています。GPU性能も向上しており、CPU性能との相乗効果でゲーム性能もスコアの伸び以上にパワーアップしています。
これまでミドル機ではゲーム以外の一般用途向けといった立ち位置でしたが、CPU、GPU性能が向上したのでゲーム性能も比較的伸びたSoCです。
▼以下は2024年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約150万点以上 GPUスコア:約60万点以上 | ヌルヌル、動作に不満なし |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約35万点〜60万点 | 重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約15万点〜35万点 | 軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜15万点 | 必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Snapdragon 6 Gen 1のゲーム以外の動き
Snapdragon 6 Gen 1を搭載するスマートフォンでゲーム以外の動きをチェックして許容範囲か確認してみて下さい。
▼Snapdragon 6 Gen 1を搭載するスマートフォンでWEB閲覧(Yahoo!ニュース)、動画視聴(YouTube)、SNS(Twitter)を使ってみました。↓
WEBサイトの閲覧や動画視聴、SNSなどの動作はSnapdragon 695 5Gでも十分な性能でしたので、Snapdragon 6 Gen 1も引き続き快適に動作します。
Snapdragon 6 Gen 1はこれらの使い方であれば長期的に安定した動作が見込めます。
Snapdragon 6 Gen 1のゲーム性能
ライトな使い方は先程検証しましたが、次はヘビーな使い方を試してみます。ヘビーな使い方の代表といえばゲーム。ここでは「重量級3Dゲーム」「軽めの3Dゲーム」の2つで試してみます。
- 原神:重量級3Dゲーム
- PUBGモバイル:軽めの3Dゲーム
▼まず重量級となる原神から。グラフィックのデフォルト設定は「低」となっています。↓
デフォルトではフレームレートの上限30FPSの制限があるので、設定にてフレームレートのみ60に変更した後、マップの3箇所をワープで移動して4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定します。
▼下限フレームレートは35FPSとなりました。↓
原神の低画質であれば高負荷時にも下限30FPSを割らなかったので、楽しめるレベルで動作します。これまでのミドルSoCでは画質が最低設定でなんとか遊べるレベルだったので、Snapdragon 6 Gen 1はワンランクリッチなプレイが可能です。一方で画質をより高くした場合は30FPSを割ることが多くなるので、画質を重視する場合はより性能の高いSnapdragon 7番台以降の製品を検討しましょう。
続いてはPUBGモバイル。2017年にリリースされたゲームで当時は重量級でしたが、SoCの高性能化も進んだので現在は軽めの3Dゲームとして検証に使っています。PUBGモバイルでは画質設定を下げた時に選べるフレーム設定の設定幅で上限フレームレートが決まってきます。
▼PUBGモバイルはフレーム設定「極限」まで開放されていました。上限60FPSでプレイ可能です。↓
PUBGモバイルの検証は、スモークを4つ撒いて高負荷状態を作り、スモークが切れるまで突入を繰り返して下限フレームレートをチェックします。
▼PUBGモバイルの下限フレームレートは55FPSでした。↓
これまでミドルSoCではフレーム設定「ウルトラ(上限40FPS)」が関の山でしたが、Snapdragon 6 Gen 1搭載機は極限設定が開放されている場合があります。
極限設定では上限60FPSとなるので、非常に滑らかにプレイが可能です。高負荷時のフレームレートの落ち込みも少なく踏ん張りも効きます。Snapdragon 6 Gen 1はミドルSoCながらもPUBGモバイルでは非常に快適にプレイが可能です。
但し、PUBGモバイルのフレームレートで設定できる範囲は機種により異なります。ハイエンドスマホで90FPS設定が出来る・出来ないがあるように、必ず極限設定が開放される保証はありませんので、購入を検討している端末で極限設定が開放されているか情報収集が必要です。
Snapdragon 6 Gen 1はSnapdragon 695 5Gからゲーム性能がグッと向上しています。長い間、ミドルSoCで設定できる画質やフレームレートの範囲はほぼ固定化されていましたが、Snapdragon 6 Gen 1はその壁を破りました。多くのゲームは楽しめるレベルで動作するゲーム性能を持っています。
Snapdragon 6 Gen 1の動作目安まとめ
ミドルSoCは2年ほどSnapdragon 695 5GがベストなSoCとされてきましたが、遂に世代交代です。Snapdragon 695 5Gと比較して多くの部分が進化しています。
特にGPU性能はスコア差以上のポテンシャルを秘めており、ミドルSoCとは思えないほどパワフルです。また、処理性能以外にもカメラで重要なISP性能も向上しているのでカメラ性能も底上げされています。
Snapdragon 6 Gen 1は非常に性能の高いミドルSoCなので、長期的に快適な動作が見込めるSoCです。
Snapdragon 6 Gen 1搭載製品の一覧
Snapdragon 6 Gen 1を搭載する製品は以下です。