埋め込み型の超音波指紋センサー「Qualcomm Fingerprint Sensors」が一気に普及しそう

指紋認証ユニットはフロントのホームボタンに備わっており、ナビゲーションキーは光る

Qualcommの子会社Qualcomm Technologiesが超音波指紋センサー「Qualcomm Fingerprint Sensors」を発表。来年の今頃は一気に埋め込み型指紋認証ユニット搭載モデルが普及しそうだ。

Qualcommの発表によるとガラスまたは金属の下に埋め込み可能な「Qualcomm Fingerprint Sensors for Glass and Metal」が2017年6月中にメーカーへ提供、2018年には各メーカーから搭載端末がリリースされる予定、ディスプレイの下に埋め込み可能な「Qualcomm Fingerprint Sensors for Display」は2017年の10月以降にメーカーへの提供を開始する予定だ。

指紋センサーが内部に埋め込まれるメリット。

最近のスマートフォンは指紋センサーの搭載が標準的となり、本体背面、本体前面、本体側面に指紋認証ユニットを備えている製品が多数。

現在の指紋認証機能も指紋を利用する事でログイン情報の入力をスキップしたり、スマートフォンのロック解除が安易になったりメリットの多い機能だが、指紋認証ユニットが埋め込まれる事で更にメリットが増える。

水没の危険性が低減する。

iPhone 7シリーズのように一部端末では指紋認証センサーがスマートフォン本体とつなぎ目の無い一体となったモデルも存在するが、大多数の製品ではセンサー面がフレームを突き抜けて露出しているタイプが多い。

防水端末はこの様なつなぎ目から水が侵入しないように防水パッキンなどを用いて防水性能を保っているが、内部に指紋センサーが埋め込まれる事で指紋センサー部から水が侵入するリスクが軽減し、防水性能が向上し信頼性も高まる。

水中でも指紋認証可能となる。

超音波を利用して指紋を認識するセンサーは水中でも正確に指紋認証可能となる。

前述した防水性能の向上と水中でも指紋認証可能な超音波指紋認証ユニットを組み合わせる事で、ダイビング中に水中でスマートフォンのロックを解除してカメラで撮影、という利用方法も現実味を帯びてきた。

4辺ベゼルレスデザインでも指紋認証ユニット搭載位置の自由度が高くなる。

次期iPhoneでは前面ベゼルレスになると噂されていたり、ジャパンディスプレイが4辺ベゼルレスのディスプレイの量産が開始されたり、VRコンテンツで強みのある18:9ディスプレイを備えた端末が続々リリースしているが、前面が全てディスプレイとなった場合、これまでは背面や側面に指紋認証ユニットを搭載するしか無かった。

例えばGalaxy S8シリーズも18:9ディスプレイを採用したことで、これまでGalaxyの伝統的スタイルだったホームボタン兼指紋認証ユニット一体型物理ボタンが廃止となった。本当は画面下に指紋認証ユニットを埋め込む予定だったが、技術的に不可能と判断して背面の微妙な位置に指紋認証ユニットが備わっている。

今後、指紋認証ユニットの画面下埋め込みが普及すると、ベゼルレススタイルの端末でも画面側に指紋認証機能を備える事が出来る。

ユニボディーの剛性が更に高くなる。

スマートフォンの背面に一体型のアルミ素材をから作られた薄く軽いユニボディーを採用している端末も多いが、指紋認証ユニットが内部に埋め込まれると、指紋認証ユニット用の開口部を開ける必要が無く、その結果、剛性が更に高くなる。

指紋センサーユニットが見えなくなることで、剛性だけでなくデザインもより洗練されたシンプルでスタイリッシュなモデルが登場するだろう。

Qualcomm Fingerprint SensorsはSnapdragonに依存しないので爆発的に普及する予感。

これまでQualcommが提供していた「Qualcomm Snapdragon Sense ID」はSnapdragonが必要だったが、今回発表されたQualcomm Fingerprint SensorsはSnapdragon依存型ではないので、様々なSoCを搭載した端末でも導入が可能となり爆発的に埋め込み型指紋認証ユニットが普及するのではないかと思う。

来年の今頃はガラリとスマートフォンのスタイルが変わっているかもしれない。

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