個人向け製品で法人向けのボリュームライセンス版Windowsがインストールされていないか確認する方法と対処法まとめ

中華PCを購入する場合はボリュームライセンス版がインストールされていないか確認を!

国内向けに正規販売されているメーカーではさすがに見かけなくなってきましたが、AliExpress等で販売されている中華メーカーのPCの場合、未だにボリュームライセンス版のWindows 11 Proがプリインストールされている場合があります。

一見すると正規版と同じに見えますが、本来メーカーがプリインストールして販売する物ではなく、途中で使用出来なくなるリスクがあります。

そもそもボリュームライセンスとは

そもそも「ボリュームライセンス」とは法人向けにMicrosoftが販売しているライセンスの一つで、導入するPCの台数に応じてまとめて契約することにより、通常よりも安価にOSライセンスを購入出来ます。

対象になるエディションはWindows 11 Pro・Enterprise(ボリュームライセンス版しか存在しない)とサーバーOSのWindows Serverのみで、一般家庭向けエディションのWindows 11 Homeにはそもそもボリュームライセンス版は存在しません。

ボリュームライセンス版Windowsの場合、正規版としてライセンス認証するための仕組みとして通常通りMicrosoftのサーバー経由で認証を実施する「Multiple Activation Key(MAK)」とライセンスを購入した企業側で自前のライセンス認証サーバーを構築し、そちらで認証を行う「Key Management Service(KMS)」の2種類が存在しますが、OSの機能としてはパッケージで販売されているWindows 11 Proと全く変わりません。

ボリュームライセンス版Windowsがインストールされているとどういう問題が発生するのか

本来であれば法人ユーザー向けのライセンスのため、メーカーが販売するPCにはプリインストールされているべきではないのですが、AliExpress等で販売されている中華メーカーのPCにはOEM版Windows 11 Proではなく、なぜかボリュームライセンス版Windows 11 Proがプリインストールされた状態で出荷されている場合があります。

前述のとおり、OSの機能としては一般販売されているリテールパッケージ版や自作PCなどで新規インストールする際に購入するDSP版、メーカーがプリインストールして販売するためのOEM版Windows 11 Proと全く変わらないため、「正規の」ボリュームライセンスキーであればそのまま使えてしまう場合がほとんどですが、本来メーカーが個人ユーザー向けに販売するPCにプリインストールする物ではないため、突然ライセンス認証が外れてしまい通常利用できなくなってしまう可能性があります。

プリインストールされているOSが「Windows 11 Enterprise」だった場合確実にボリュームライセンス版が不正にインストールされていると思ってもらって問題ありません。

インストールされているOSのライセンスを確認する方法

中華PCメーカーでも「GEEKOM」や「Minisforum」のように国内向けに代理店経由で正規販売を行っているメーカーであればほぼ確実にOEM版Windowsがプリインストールされていると考えてもらっても差し支えありませんが、AliExpress等で販売されている、異様に安価な価格設定のWindows 11 Pro搭載PCを購入した場合、念のため以下の手順でOSライセンスを確認しておくことをお勧めいたします。

▼「Windowsキー」 + 「R」キーを押下して「名前を指定して実行」を開き、「slmgr.vbs /dli」と入力してOKを押します。↓

slmgrスクリプト実行

▼すると、Visual Basic Script(VBScript)で作成されたライセンス確認ツールが開くので、「説明」の箇所に「Retail」、または「OEM」と記載されていることを確認します。↓

slmgrスクリプト実行結果

上の場合は「OEM_DM_channel」とあるのでOEM版Windows 11 Proがインストールされていることが分かります。

ここで「VL」と記載されていた場合はボリュームライセンス版がインストールされているため、次の項目で解説する対応をとる必要があります。

ボリュームライセンス版OSがインストールされていた場合の対応について

上記手順で確認した結果、ボリュームライセンス版Windowsがインストールされていた場合、可能であれば販売元に連絡を行い正規ライセンスキーを送ってもらうか、返品対応してもらうことをおすすめします。出先がわからないボリュームライセンス版を個人向けのPCにインストールして出荷している時点で姿勢としては大問題ではありますが、きちんとした対応をしてくれるメーカーであればOEMキーを送ってもらえるはずです。

メーカーから正規OEMキーを発行してもらえないが、どうしてもそのまま使用したい場合、Microsoft公式オンラインストアや家電量販店やAmazonなどの正規代理店で販売されているWindows 11 Proの正規ライセンスを改めて購入する必要があります。場合によってはクリーンインストールすることで“なぜか”ボリュームライセンスからOEMライセンスに切り替わるケースもあるようですが、本当に正規ライセンスなのかわからないためそのまま使用するのはあまりお勧めしません。

ただし、現在も同じような対応を行っているかどうか確認することができませんでしたが、Windows XP〜Windows 7が現役だった頃はMicrosoftの違法コピー対策ページ内に用意されているフォームから購入時に発行されたレシート・領収書などとともに「個人向けに販売されているPCなのにボリュームライセンス版OSがインストールされていたため、突然ライセンス認証が外れて通常利用できなくなってしまった」と報告することで無償、または通常購入するよりも大幅にディスカウントされた価格で正規版Windowsのライセンスを発行してもらうことが可能でした。ダメ元でMicrosoftに報告してみると良いかもしれません。

まとめ

かつては秋葉原に出展している小さなショップでも平然とボリュームライセンス版Windowsや、酷すぎる場合だと何が仕込まれているのかわからない違法コピー版Windowsを「テスト用」と称して中古PCにインストールした状態で販売する例も見られましたが、さすがに現在では見られなくなってきましたし、中華PCメーカーでもきちんとしたところでは正規OEM版Windowsをインストールして販売しているケースが増えてきているので、少なくとも国内で流通している製品を購入する分には心配は不要です。

ただし、AliExpressやAmazon等で販売されている、聞いたことがないメーカーの製品だとどういうルートで入手したのかよくわからないボリュームライセンスキーを流用したOSが平然とインストールされている事象をよく見かけます。

個人的には中華メーカー製PCが怪しかった頃を彷彿とさせてくれるのでいろいろな意味で面白いとは思うのですが、法人向けライセンスをそのまま流用しているのは問題ですし、何も知らずに購入してしまった場合ある日突然使えなくなってしまう可能性もあるので、よくわからないメーカーのWindows搭載PCを購入する場合はこの点を気をつけた方が良いかもしれません。

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