まもなく「なかったこと」にされてしまうWindows 11 SEとはどのようなOSだったのか

まもなく存在自体がなかったことにされる予定のWindows 11 SEとはどのようなOSだったのか紹介します

2026年10月のWindows 11 2024 Update(Version 24H2)のサポート終了をもって存在ごと葬り去られることになってしまった教育機関向けエディション「Windows 11 SE」と日本国内では唯一のプリインストールPCとなる「Surface Laptop SE」を紹介いたします。

Surface Laptop SE、Windows 11 SEともに本来であれば小・中学校などの教育機関専売モデルとして販売されていたため、一般ユーザーには一生「縁がない」…はずだったのですが、教育機関のリース落ち品と思われる個体がなぜかAmazonで販売されていたため、昨年10月に購入したうえでMicrosoft公式サイトからダウンロードできる純正リカバリーイメージでWindows 11 SEに戻してサポート終了まで面倒を見ています。

Windows 11 SEとSurface Laptop SEについて

Surface Laptop SE
本来は教育機関にのみ販売されていたSurface Laptop SE

Windows 11 SEは2021年11月9日に開催された教育機関向けオンラインイベント「Education’s Reimagine」にてSurface Laptop SEと一緒に発表された、主にK-9(幼稚園~中学生)グレードを対象にして開発されたWindows 11の追加SKU(エディション)のひとつとなります。

先に教育機関でもシェアを伸ばしていたGoogleのChromebook(ChromeOS)やAppleのiPadに対抗して投入されたSKUで、前述のとおり一般ユーザー向けにはOSライセンス、搭載PCともに販売されていません。

ベースになっているのはWindows 11 Proですが、データの保存先を原則としてOneDriveのみ(ファイル・オンデマンド機能を利用することでオフラインでも保存されているファイルにアクセス可能)となっているほか、学習用途に必要かつ、パフォーマンスを大幅に低下させないアプリのみ、後述するクラウドデバイス管理サービスの「Microsoft Intune Education」経由でインストール可能とすることで、通常のWindows 11ではライトな作業ですらこなすことが厳しくなってきたCeleron N4020/Celeron N4120のような低スペックPCでも快適に動作することが可能となっています。

海外ではdynabook、DellなどのPCメーカーからも搭載デバイスの投入がアナウンスされていましたが、日本国内で投入されたのはMicrosoft自身から販売されていたSurface Laptop SEのみとなります。前述のとおり新品販売時の販売経路は教育機関のみに限定されていましたが、一般向けモデルとしても販売されていたSurface Goシリーズよりもさらに安価に設定されており、Celeron N4020/4GB RAM/64GB eMMCモデルであれば27,800円で購入することが可能でした。

Surface LaptopシリーズやSurface Laptop Goシリーズと比較するとCPUのスペックやディスプレイ解像度(HD)がかなりダウングレードされているほか、筐体の素材も樹脂素材に変更されるなど徹底的にコストダウンされているものの、一目で「Surface」とわかるスタイリッシュなデザインはしっかり受け継がれているだけでなく、ラフに取り扱うことが多い小さなお子様の利用を想定していることもあり、比較的壊れやすい印象もあるSurfaceシリーズの中では一番頑丈な設計になっています。また、シリーズでは初めてユーザーによる自己修理にも対応しています。

実際使ってみるとキーボードの打鍵感に若干安っぽさが感じられるものの、しっかりSurfaceらしさは継承しているので、かのあゆ自身も実はかなり気に入っていたりします。

アプリをインストールするには別途デバイス管理サービス「Microsoft Intune」が必要なうえに制限あり

Windows 11 SE自体は本来そのような利用は一切想定していないものの、Microsoftアカウントさえあれば通常のWindows 11 SKU(Home/Pro)と同じく個人ユーザーでも利用可能…ですが、その場合利用できるアプリは下記のみに限定されます。

  • Microsoft Office/Microsoft 365 Apps(別途ライセンスが必要)
  • あらかじめWindowsにプリインストールされている標準アプリ(メモ帳、ペイント、Microsoft Edgeなど)
  • Microsoft Edge上で動作するWEBアプリ

前述のとおり、Windows 11 SEでは通常のデスクトップアプリ(Win32アプリ)のみならずMicrosoft Storeすら非搭載となっているため、原則としてWindows 11 Home/Proとは異なりユーザーが後からアプリを追加することは一切不可能となっています。

…正確に言えばMicrosoftが提供しているクラウドベースのデバイス管理サービス、「Microsoft Intune」(個人契約可能・無料トライアル期間あり)を契約すればクラウド経由でデスクトップアプリやストアアプリのインストールも可能となっていますが、その場合もインストールが許可されているアプリは学習に必要なアプリのみに限定されているため、Intuneを契約すれば通常のWindowsと同じように利用できるわけではありません。

その代わり、通常のWindows 11 Home/Proと比較するとかのあゆが購入したSurface Laptop SEの最廉価モデル(Celeron N4020/4GB RAM/64GB eMMC)でもかなり軽快に動作してくれています。

個人利用だと原則利用できるアプリはかなり限定されるが、意外と使える
個人利用だと原則利用できるアプリはかなり限定されるが、意外と使える

Microsoft 365 Personal/FamilyやMicrosoft Office 2024の有効なライセンスがあればMicrosoft Officeはあらかじめプリインストールされているため、ライセンス認証を済ませれば通常通り利用可能ですし、かのあゆが普段利用しているGIMPなどの使い慣れたアプリが使用できないのは若干痛いものの、NotionやChatworkなどはMicrosoft Edge上で動作するWEBアプリで対応可能ですし、画像編集ソフトの「Pixlr Suite」などデスクトップアプリに劣らない性能のWEBアプリも増えてきているので意外と普通に使えてしまったりします。

…もちろんクラウドベースになってしまいますがGeminiやClaude、CopilotなどのクラウドベースのAIアシスタントもWindows 11 SE環境で問題なく利用できます。

データを保存できるのはOneDriveかUSBメモリ・外付けSSDのみ

内蔵ストレージには一切アクセスさせない潔い仕様
内蔵ストレージには一切アクセスさせない潔い仕様

教育機関向け専用ということで、ユーザーが読み書きできるのは原則としてOneDriveに同期されているファイルと、グループポリシー等で制限されていない場合のみ外部ストレージのみに制限されています。

「エクスプローラー」のアドレスバーから直接Cドライブを開こうとすると上記エラーメッセージが表示され、内蔵ドライブ上のファイルには一切アクセス出来ないようになっています。小さなお子様の場合、通常通りシステムドライブにアクセス出来てしまうと誤ってWindowsフォルダやProgram Filesフォルダに格納されているシステムファイル・アプリデータなどを削除してしまう恐れがあることを踏まえると、このあたりについてはかなり徹底されている印象を受けます。

ただし、リカバリーやシステム復元などで利用する回復環境(Windows RE)については通常のWindows 11と全く同じ挙動となっているので、Bitlocker暗号化さえ解除できれば回復環境から利用できるコマンドプロンプトからCドライブ上のファイルに通常通りアクセスすることも可能ですし、USBメモリなどからWindows PEベースのOSやLinux等のOSからも通常通り内蔵ドライブの読み書きが可能です。

管理者権限を有しているユーザーであってもレジストリやコマンドプロンプトなどは利用不可

システム設定を変更するツールは管理者権限が付与されているユーザーでも起動不可
システム設定を変更するツールは管理者権限が付与されているユーザーでも起動不可

Intuneで各種設定を管理することを想定しているため、Windows 11 SEでは管理者権限が付与されたユーザーであってもレジストリエディタ、コマンドプロンプト(CMD.EXE)、Windows PowerShellなどのシステムツールに起動制限がかけられているほか、デスクトップアイコンの設定など一部個人用設定なども行えなくなっています。

実はWindows 11には標準機能としてユーザーに利用させたくないアプリに起動制限をかけられる「App Locker」という機能が用意されていて、こちらでシステム設定をかけているのかと思っていたのですが、実際には「OSの仕様」として管理者権限が付与されているユーザーであっても徹底的にシステム設定を弄らせない仕様になっていました。

まとめ

Amazonで今でも「なぜか」販売されているSurface Laptop SEにはWindows 11 SEではなく、Windows 11 Proがクリーンインストールされていましたが、付属していたMicrosoft Office(2019 Pro Plus)含めライセンス周りがかなり怪しかったため、あえて残りサポート期間がわずかとなってしまったWindows 11 SEにリカバリーした上で個人ユーザーとして運用していますが、押しつけがましいCopilot関連の機能が実装されていないことや、ロースペックPC向けに最適化を行っていることもあって通常のWindows 11 Home/Proよりもかなりいい感じに仕上がっています。メインPCとして常用するのは厳しいものの、記事作成程度であればWindows 11 SE環境でも十分対応可能です。

Microsoft自身は「失敗作」扱いにしてしまったものの、もうちょっと育てていれば教育機関にもきちんと売り込むことが出来た可能性もあるため、ハードウェア保証期間は残っているものの公式では通常のWindows 11 Home/Proへの入れ替えをサポートしていない(実際には問題なく動作しますが、スペック面で常用するのはいろいろ厳しい)Surface Laptop SEもふくめ、中途半端に終わってしまったのは少し残念に感じてしまいました。

Windows 11 SEは同OSの最終アップデートとなるWindows 11 2024 Update(Version 24H2)のサポート期限である2026年10月を持ってセキュリティアップデートも含めすべての更新プログラムの提供が終了してしまうため、今後どうするかいろいろ検討していますが、幸いGoogleのChromeOS Flexであれば正常動作を保証する認定モデルとしてリストアップされているため、Windowsロゴが付いたChromebookとして引き続き活用するのもいいんじゃないかなぁと考えています。

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