AQUOS R8 pro(SH-51D)のレビュー。撮影・編集好きな人向けのカメラフォン

SHARPがドコモで2023年7月20日にリリースした1型センサーカメラ搭載の新型フラッグシップモデル「AQUOS R8 pro(SH-51D)」を試す機会を頂きました。価格は209,000円と目が飛び出す価格。一体、どんな体験ができるのか実機を試してみます。

良かった点

  • フラッグシップ機らしい高品質ボディー
  • 驚異的な滑らかさのディスプレイ
  • 忠実性の高い1インチカメラ

注意点

  • Snapdragon 8 Gen 2らしからぬパフォーマンス
  • 箱鳴りしやすいボディー
  • 撮影を楽しむにはカメラの基礎知識がある程度必要

▼リアルタイム価格は以下から確認して下さい。↓

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AQUOS R8 proがIIJmioで取扱開始。端末のみ購入でも3万円ほど安いですね

スペック・ベンチマーク、検証結果の一覧

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撮影しやすさ重視のボディー

AQUOS R8 proはいわゆるカメラフォン。高品質な筐体も撮影に特化した機能美が詰め込まれています。

▼背面で目を引くのが大きなカメラユニットですが、一般的なスマホと異なりメインカメラが中心に配置されてます。これは被写体を中央に捉えやすくするためですね。↓

▼筐体はプロ向けカメラでも採用されているブラスト仕上げ。まるで一眼レフカメラの筐体を連想させるような質感となっています。↓

▼ディスプレイサイズは6.6型。横幅は77mmあるので片手操作はちょっと厳しいですね。結構大型です。↓

Snapdragon 8 Gen 2の性能を出しきれてないかも

AQUOS R8 proが搭載するSoC(頭脳のようなもの)は最高ランクのSnapdragon 8 Gen 2を搭載。最近はクロックアップされたバージョンの8 Gen 2も出てますが、基本的に標準モデルで困ることは有りません。

面白いのがカメラリング。AQUOS R8 proでは大型のカメラリングが放熱の役割も果たすことで安定的な動作を実現しているとしています。

日常使いで不満に感じることはまずありません。フラッグシップ機特有のキビキビとした応答性に加え、SHARPが得意とする滑らかな表示も合わさり、軽快な操作感はスマートフォンの中でも屈指と言えるでしょう。

日常的な利用範囲で体感としては非常に快適な部類ですが、ベンチマーク結果がふるいません。Snapdragon 8 Gen 2の標準モデルはAnTuTu V10で総合スコアが150万点を超えてきますが、AQUOS R8 proは120万点台となっています。

これはガルマックスで収集しているデータだとSnapdragon 8+ Gen 1の低周波数版と同等レベルのスコアです。

スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ

ガルマックスに届いた個体の問題か分かりませんが、手元にある端末ではSnapdragon 8 Gen 2のパワーは出し切れていないと判断せざるを得ません。

これはゲームも同様で、Snapdragon 8 Gen 2らしからぬ動作が見受けられました。

これからゲームを動かしますが「FPS」という言葉が出てきます。これは数値が高ければ高いほど滑らかな表示となります。ガルマックスではゲームプレイ中に下限30FPSならゲームを楽しめるレベル、下限60FPSを維持できるなら快適レベルとしています。

▼PUBGモバイルではフレームレート重視だとスムーズ+極限(上限60FPS)、画質重視だとFHD+ウルトラ(上限40FPS)で設定可能です。↓

シューティングゲームでは画質よりも滑らかさが重視されますが、AQUOS R8 proは上限60FPSのスムーズ+極限でプレイ可能。実際のプレイでも60FPSをキープしているので快適なプレイが可能でした。

PUBGモバイルは、より滑らかなスムーズ+90fps(90FPS)の設定も一部モデルで開放されています。が、AQUOS R8 proでは開放されず。90FPS表示可能なディスプレイ、それを出力するために不足ないSoCを搭載していることから、ゲーム側での対応が進んでいないようです。そのうち開放されるかも知れません。

重量級ゲームの代表格である「原神」も試してみます。

▼いつもなら画質をデフォルト設定で検証を行いますが、デフォルトの「中」だと60FPSに張り付いたので以下から画質設定を「最高」、フレームレートを60にして検証します。↓

▼高負荷時の最低フレームレートは46でした。↓

Snapdragon 8 Gen 2を搭載するモデルでは同様の検証で60FPSをキープしていますが、AQUOS R8 proはなぜか高負荷時にフレームレートがガクッと下がり46FPSとなっていました。つまり、踏ん張りが効きません。

Snapdragon 8 Gen 2であれば過去の検証結果から先述通り60FPSをキープできるほどのSoCではあることは実証済みなので、やはりSnapdragon 8 Gen 2のパワーを出し切れて無い感が否めません。この点は今後のアップデートなどで変わるかもしれないので、気になる方は引き続き情報収集することを推奨します。

AQUOS便利機能が満載。指紋認証が爆速

▼AQUOS R8 proはお馴染みのAQUOS便利機能も満載されています。↓

個人的によく使っているのがスクロールオートとPayトリガー。スクロールオートは食事しながらSNSのタイムラインをチェックする時に自動でスクロールしてくれるので重宝してます。スクロール速度なども細かく設定できるので便利ですよ。

Payトリガーは、指紋センサーを押し続けることで任意のアプリを起動できる機能ですね。僕はPayPayアプリを設定して使ってます。このPayトリガーは複数のアプリを登録できるので、複数のQRコード決済を使い分けている方も扱いやすいと思います。

▼指紋認証は認証スペースが広く、認証も驚くほど速いです。指紋認証はスマホで最も使う機能の一つなので、ストレスなく利用できた点が良かったです。↓

気持ち良いほどヌルヌルなディスプレイ

AQUOS R8 proのディスプレイは6.6型で定評あるPro IGZO OLEDパネルを搭載。ピーク輝度は2000nitと圧倒的なので、動画など対応コンテンツでは閃光のようなまばゆい光の演出を体感できます。屋外でもとても見やすかったですよ。

AQUOS R8 proでは従来モデル同様に滑らかに表示できる点も大きな特徴です。最大120Hzの表示に加え、1フレーム毎に黒画面を挿入することで最大駆動は240Hzに達します。これにより圧倒的な残像感の軽減を実現。滑かな動きは実機で体感しましたが感動モノです。

動画視聴時に箱鳴りする背面の振動が気になった

AQUOS R8 proは「メディアのバイブレーション」という機能が備わっていて、サウンドに合わせて本体が振動します。これはデフォルトでオンになっていました。

サウンドに合わせて振動する機能は人それぞれ好みがあるので、僕のように振動しないほうが良いというユーザーはオフにすることもできますが、オフでも相当震えています。オンに比べるとわずかに振動強度は下がっていますが、それでも箱鳴りするので、TikTokをしばらく見ていると背面に添えている指先が痺れてきました。

これは機能の問題ではなく共振しやすい筐体の問題かも。僕は動画再生中の振動は不要派なので試用期間中は常に気になっていた事象でした。もしかしたら完全にオフになるような設定を見過ごしているかもしれません。ご存知の方がいらっしゃいましたら教えて頂けると嬉しいです。

1型センサー搭載のプロ級カメラ

AQUOS R8 proの1インチセンサーカメラは超広角レンズを搭載した一発モデル。結構珍しい構成です。ズーム時は写真中央をクロップするクロップズームで撮影するようになっています。これは前モデルから同じような仕組みですね。ズームは4倍程度までなら十分活用範囲という印象でした。

▼AQUOS R8 proのカメラは、結論から言えば見た目に忠実な写真が撮影できるカメラです。↓

標準:撮って出し
超広角:撮って出し
標準:撮って出し
標準:撮って出し

▼人物撮影では光量の少ない室内撮影でも明るく綺麗に撮影できてビックリ。↓

標準:撮って出し

▼じっとしていられない動物の撮影では連射が威力を発揮します。↓

標準:撮って出し
標準:撮って出し
標準:撮って出し

AQUOS R8 proはプロ級のカメラであることは確かですが、これが万人受けするかは別の話。

例えば一眼レフカメラは解像感と忠実性の高さが優れていています。あと、撮って出しで使うよりも現像過程でイメージに近づける編集を経ることが多いですね。

一方でスマホカメラは、マニュアルでイメージに近づける編集をユーザーはすっ飛ばします。代わりにAIが画質チューニングを肩代わりして映える写真に仕上がるようになってます。まるでプロが撮影した(RAW現像した)ような写真が気軽に撮れるのが利点ですが、メーカーによるチューニングの味付けでユーザー側が受け取る印象も大きく変わってきますし、好みと違うというイメージ違いも発生しやすいです。

AQUOS R8 proはどちらかといえば、一眼レフカメラと同じような使い方が向いています。

▼これも撮って出しです。AQUOS R8 proは一眼レフのように目で見た色合いに非常に近いです。これは14chスペクトルセンサーのおかげかもしれませんね。↓

標準:撮って出し

▼これは一見、「地味」「暗い」と感じるユーザーさんも居るかと思いますが、見たままを切り出しているという点では非常にクオリティーの高い写真です。僕好みの彩度高めにしながら空の白飛びを抑えつつ全体が明るくなるよう編集してみました。イメージに近くなるよう編集するのも楽しいところですね。(左が撮って出し、右が編集済み)↓

▼高性能なカメラを搭載していても完璧ではありません。黒猫撮影は苦手なようでシャッターを切るだけでは白飛びした様な不自然な仕上がりになっていました。↓

標準:撮って出し

このように撮影に失敗した場合、うまく撮影できるよう試行錯誤することもカメラの愉しみ方の一つではあるので個人的には楽しいシーンの一つでした。

HDRオンで連射可能な点も驚愕したところですね。これは高性能なSoCを搭載している恩恵の一つでミドル機では難しい芸当です。

スマホカメラといえばパッと出してサクッと撮影できるレスポンスが魅力ですが、そのような良いところをしっかり抑えつつ、非常にレベルの高い写真が撮影できる点はカメラ好きにグサッと刺さる部分だろうなと感じました。

但し、1インチセンサーを搭載することの弊害もあります。その一つが最短撮影距離。センサーが大きくなると被写体に近づくことが難しくなるんですね。

▼例えばアップで撮影することの多い料理撮影もここまでしか近づけないので2倍ズームなどを利用する必要があります。(左が標準、右が2倍ズーム)↓

このあたりはカメラの基礎知識があれば容易に想像できる点ですが、そうでない場合、「なんだかAQUOS R8 proのカメラはあまり近づけなくて使いづらいな」と、欠点だけが目立つような感じになってしまいます。ちなみにiPhone 14 Proもセンサーの大型化に伴い近づけなくなりましたが、あちらは標準カメラと超広角カメラを自動切り替えして、そういったデメリットを分かりづらくしています。

AQUOS R8 proは、最短撮影距離の兼ね合いでズームを駆使することになります。2倍程度なら画質も担保されているのでアップ写真はズームで撮影したらいいだけの話なんですが、特性を知っていないと今まで使ってたスマホカメラのほうが撮影しやすいと感じるかもしれません。また、最近のスマホカメラのように常に映える撮影に仕上がる訳ではなく、イメージに合うような編集も時には必要になってくるので、そのような部分で煩わしさを感じるユーザーさんも居るかも知れません。

色々と話してきましたが、AQUOS R8 proのカメラを存分に楽しむには、ユーザー自身もカメラの仕組みや基礎知識がある程度必要になり、自身のイメージに近づける編集に労力・時間を割くことが苦にならない、むしろ、そういった工程が楽しみの一つだという人に向いていると感じました。

▼最後に動画も撮影してきましたので見てって下さい。ハイエンドスマホらしい手ブレの少ない動画撮影を楽しめますよ。動画撮影機材としても優秀。↓

AQUOS R8 proをオススメできる人

AQUOS R8 proはこんな人にオススメしたいスマートフォンでした。

  • カメラ・撮影好きな人
  • 写真の編集が好きな人
  • 長期間サクサク動くスマホが欲しい人

AQUOS R8 proはカメラの仕組みや基礎知識をある程度持っていないと、カメラの素晴らしい部分が分からず、ただただ扱いづらい・煩わしいと感じる恐れもあります。

20万円を超えるスマートフォンですし、1インチセンサーを搭載する癖の強いカメラフォンですから万人に手放しにオススメはできません。

一方で、とにかくカメラが好き、写真の編集が楽しいという人は、とんでもなく楽しいスマホかと思います。大きくて重い一眼レフカメラと比べると、驚くほどコンパクトで軽量で薄いAQUOS R8 proですが、出てくる怒涛クオリティーの写真を見るとニヤニヤせずには居られません。

写真撮影は好きだけど、日常生活で一眼レフを持ち歩くのは大変、だから普段の撮影はスマホでカバーしたいというカメラ好きな人は、AQUOS R8 proは相性の良いスマホかと思います。

AQUOS R8 proのレビューは他でも沢山出ているので、ガルマックスだけでなく色々なレビューを確認しながら是非検討してみて下さいね。

AQUOS R8 proの購入先まとめ

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AQUOS R8 proがIIJmioで取扱開始。端末のみ購入でも3万円ほど安いですね

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