M1 UltraのGPU性能はRTX 3090に劣る?
性能の高さが話題になっているM1 Ultraですが、GPU性能に関しては公式ページの記載通りでは無い可能性が出てきました。
M1 UltraはRTX 3090には及ばない?
海外メディアのThe Vergeが実機のMac Studio(M1 Ultra搭載モデル)を購入しベンチマークテストを行った結果に関する記事を公開しています。
▼Geekbench 5の結果はこちら。 OpenCLスコアで比較すると、M1 Ultraが83121だったのに対し、RTX 3090は215034とM1 Ultraの約2.6倍ほどの性能となっているようです。↓
▼3Dを用いたゲームであるShadow of the Tomb Raiderのフレームレート結果はこちら。1080p解像度での結果はM1 Ultraが108fpsだったのに対し、RTX 3090では142fpsと更に快適に動いた模様です。↓
上記の結果を参考にして、The Vergeは公式サイトでのM1 UltraのGPU性能テストでの比較でRTX 3090を「相対的な」GPU性能で打ち負かし、それでいて消費電力をかなり抑えているとしている主張は、「言葉は悪いが、データを切り取っている」と苦言を呈しています。
また、ベンチマーク結果以外にデータを切り取っているとした根拠の一つに、RTX 3090のTDP(熱設計電力)に関しても挙げています。
▼グラフやガルマックスの紹介記事では最大性能まで320Wほど必要だと記載していましたが、RTX 3090のTDPは最大350Wで設計されており、オーバークロック等にも対応していたりするので、実際には更にパフォーマンスが引き出せるとのこと。↓
▼The Vergeが予想する正しい性能比グラフはこんな感じ。↓
The Vergeはこの点について「スーパーカーが電気自動車の2倍の速度で走れるという事実には触れずに、時速80マイル(約130km/h)で走る電気自動車の燃料消費量がスーパーカーよりも劇的に少ないからエンジンが優れていると主張するようなもの」と述べています。
最後にThe Vergeは、M1 Ultraが地球上で最もパワフルなGPUであるRTX 3090に勝てなくても構わないから、小手先で性能を誤魔化すことをせず、M1 Ultraの実際の長所や利点を正確に伝えて欲しいと願っていると締めています。
小手先で誤魔化した比較グラフを出すのはいただけない
Mac Studioの紹介ページで使われたRTX 3090と比較するグラフはThe Vergeの指摘通り分かりにくく、パッと見ではRTX 3090と同等の性能を省電力で発揮できると勘違いしやすいと感じました。(紹介記事を見返すと筆者も惑わされていますね)
せっかくApple Siliconが省電力で高性能なプロセッサだという良い評判が広まっている中、このような小手先で誤魔化したような比較グラフを出すのは正直いただけないですね。
M1 Ultraのグラフィック性能は内蔵GPUとしてはこれ以上ないくらいパワフルなのは事実。その点をAppleは誇りに思ってもいい事案だと思うので、余計にそう思っちゃいます。
この点に関して、Appleが何かしらの対応をするのか、はたまたそのままにしておくのか。杜撰な性能比較は製品の信用を傷つける行為ですので、早めに対応しておいた方がいいのではないかと思う筆者でした。