Minisforum BD795i SEのレビュー!超ハイスペックなRyzen 9 7945HX内蔵のMini-ITXマザーボードを試す!
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ミニPCで有名なMinisforumで小さいマザーボードが出ていると聞いて「どんなもんかいな?」と日頃から思っていたんですが、Ryzen 9 7945HXを搭載したマザーボード「BD795i SE」をメーカーさんに頂いたのでレビューしていきます!
■Minisforum BD795i SE■
初出時価格→84,990円
▼公式ストア:3月21日時点で67,990円!↓
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目次をクリックすると各項目へ移動します
Minisforum BD795i SEのスペック・ベンチマーク、検証結果
[付属品]一通り必要なパーツは入っているが、マニュアルはかなり質素
- IOパネル
- Wi-Fiアンテナ系パーツ
- ネジ類
- マニュアル類
Minisforum BD795i SEでマザーボード本体以外に付属しているものはIOパネルにWi-Fiアンテナパーツ、マニュアル類と通常のマザーボードで付いてくるものと同じような感じの組み合わせになっています。
ただ、大手メーカー製のマザーボードであるようなドライバディスクや本格的な紙マニュアルは付属しないので、自作初心者の方にはハードルが高いかもしれませんね…
[筐体]Mini-ITXなのでサイズは小さいが拡張性は低い
まずはMinisforum BD795i SEの全体像を確認してみます。
▼ヒートシンクがかなり大きくマザーボードの面積のほとんどを覆っています。ヒートシンクとマザーは両方ともに黒色で合わせているので、個人的にクールな印象を受けました!↓
▼裏側にはボタン電池が装着されています。あらかじめヒートシンクが取り付けられている関係からかバックプレートも装着済みですね。↓
▼Minisforum BD795i SEは拡張性が低いながらもSSDスロットは2つ設けられているのが嬉しい!↓
▼端子部分はこんな感じ。PCケースへ取り付ける際はIOパネルも用います。↓
▼PCIeスロット周りのショット。差し込み口周りはシルバーカラーで仕上げられています。↓
Minisforum BD795i SEはMini-ITX規格に則ったマザーボードですので、サイズは170mm四方と一般的なマザーボード(ATXやMicro-ATX)よりもかなり小さいです。
比較までにATXのサイズは305mm×244mm、Micro-ATXは244mm×244mmなので小ささが分かるはず。
▼ATXサイズのマザーと比較。こうしてみると全然サイズが違うことが分かるはず!↓
ただ、サイズがかなり小さい分拡張性はかなり低いです。特にPCIeスロットはPCIe 5.0×16が1つだけ、USBヘッダーもUSB 3.2 Gen 1が1つだけとATX/Micro-ATXマザーボードと比べると超がつくほど少ないです。
ただ、これに関してはMinisforum BD795i SEの問題ということではなく、他のMini-ITXマザーでも似たようなものなので、特に大きな欠点とは言えません。まぁSATAポートが一切無いのはやりすぎな気もしますけどね〜。せめて1個は欲しかったところ。
[性能]数世代前のモデルだが今でもかなりハイスペック
さて、読者の方も気になっているであろう性能面について検証していきます!Ryzen 9 7945HXはかなり性能が高いらしいですがどうなのか…?
今回使用したパーツを紹介
▼今回Minisforum BD795i SEの検証で使用したパーツは以下のものとなります。基本は手持ちのパーツメインで組んだので統一感はありません。↓
ケース | JONSBO U4 |
CPUクーラー | ARCTIC P12 MAX(12cmファン) |
メモリ | DDR5 SODIMM 16GB |
SSD | KIOXIA EXCERIA PRO 1TB |
SSDヒートシンク | JONSBO M2-GRAY |
電源 | ADATA XPG PYLON 650W |
ケースは中国のPCケースメーカー、JONSBOのU4を選定。2016年発表のもので現在は新品で販売されていませんが、自宅に転がっていたので仮に使用しました。
▼JONSBO U4はATXマザーに対応したケースなので、Mini-ITXのMinisforum BD795i SEを据え付けた際はこんな感じでスッカスカになります。↓
▼CPUクーラーにはPCの冷却パーツの有名ブランドであるARCTICのP12 Maxをブルドオン。ちなみにP12 Maxはパソコン工房まで出向いて購入してきました。↓
120mmのPWMファンですが、回転数が200〜3300rpmと他の製品と比較してかなり高回転までサポートしているのが魅力的なんですよね。
▼メモリーはプリンストンブランドのDDR5 SO-DIMM(ノート用)の8GBを2枚装着しました。たまたま持っていたので選定した流れですが、資金に余裕があるなら16GB×2の32GBにしてもいいかもね〜。↓
▼SSDは他のPCに導入していたKIOXIA EXCERIA PROをこちらへ流用しました。ちょうどPCIe 4.0対応のSSDなのでちょうどよかったかも。↓
▼SSDのヒートシンクですが、CPUファンとの隙間はシッカリと設けられており今回使用したゴツめのヒートシンクでも余裕があったので、発熱が多めになりやすいハイスペックなSSDでも安心ですね。↓
▼電源は新品で購入してから塩漬けにしていたXPG PYLONを使用。80PLUS認証は下から2番目のBRONZE止まりではあるものの、中身の出来はBRONZEの中ではトップクラスに位置していた製品でした。↓
▼今回は650Wの電源をチョイスしましたが、Ryzen 7 7745HXを搭載した兄弟モデルのBD770iでGPUを搭載した場合の電源の選定基準を載せておきます。公式サイトでの情報ですが、搭載CPUが違うので参考程度でお願いします!↓
恐らくですが、RTX 3070クラスなどであれば500Wもあれば十分でしょう。一応RTX 90シリーズも搭載はできそうですが、本製品で使うかと言われると…どうでしょうね?
▼LANカードはNECのノートPC(ジャンク)に刺さっていたやつを抜き取って装着しました。↓
ベンチマークソフトで性能をチェック!
それでは各種ベンチマークソフトで性能をチェックしていきましょう!
なお、Ryzen AI 9 HX 370を搭載したMinisforum AI X1 Proを比較対象として話題に出すので参考にしてみてください!
▼まずは…見よ!この16コア32スレッドのグラフを!この辺りはモバイル向けとはいえ流石Ryzen 9と感心しますねぇ。↓
▼最初はAnTuTuから。CPUスコアは最新のモバイル向けハイエンドCPUであるRyzen AI 9 HX 370よりも上に位置しています。ただしGPUスコアは4分の1くらいしか出てないですね…↓
▼Geekbench 6の結果はこちら。Ryzen AI 9 HX 370と比べてCPUスコアは微妙に負けているくらいですが、GPU系の結果は惨敗です。↓
▼PCMark10の結果はこちら。Ryzen AI 9 HX 370と比べるとかなり低くなってしまっていますが、内蔵GPUの性能やAI系の機能、メモリ搭載量も関係しているのかな?↓
▼3DMarkの結果はこちら。想像はしていましたが他のベンチマークソフト同様Ryzen AI 9 HX 370よりもかなり低いです。↓
▼Cinebenchの結果はこちら。R23、2024共にRyzen AI 9 HX 370と比べるとシングルコアスコアは同等か少し劣るくらいですが、マルチコアではぶっちぎりでRyzen 9 7945HXが勝っています。↓
以上がベンチマーク結果でしたが、いやぁかなり強烈なスコアでしたね。デスクトップ向けのRyzen 7000シリーズと同じ設計とはいえ、数世代前のCPUで現行のモバイル向けハイエンドCPUに勝っていたりと未だに超高性能な結果が出てきたのは素直に驚き。
ちなみにGeekbench BrowserでRyzen 9 7945HXがどのCPU相当か調べてみたところ、シングルコアではCore i5-14600K、マルチコアではCore i5-14600と同等とのこと。ざっくり言うと1〜2世代前のデスクトップ向けミドルレンジ帯CPUくらいの性能はあるってことですね。
しかも後述しますが、消費電力は高負荷時で100W台前半とデスクトップ向けのCPUと比べると省電力なのもいいですね〜。先ほど名前を出したCore i5-14600だとベースパワーで65W、最大で154Wまでカタログ上の消費電力が上がるので、どれだけエコなのかは伝わるはず。
内蔵GPUがRDNA 2アーキテクチャを採用したRadeon 610Mと一見すると新しめなので性能もそれなりに高いんじゃ?と思う方もいらっしゃるでしょうが、掲載したスコアの通り他のモバイル向けRyzenの足元にも及ばない性能になってしまっています。
そもそもRyzen 9 7945HX自体が50万円以上するようなフラッグシップ級のゲーミングノートPCか今回レビューしているMinisforum BD795i SEのようなミニサイズのマザーをターゲットにしており、そういった類のPCってGPUが別で用意されているorするのがほとんどだったりします。
となると内蔵GPUなんかは緊急時にとりあえず画面が映ればいいやみたいな用途に絞られるので性能は高くなくてもいいんですよね。この辺りの割り切りはデスクトップ向けモデルと同じ空気を感じます。
消費電力は思ったより低め
ハイスペックなのは分かった。でも消費電力と発熱はどうなのか?というのは誰もが気になるポイントであるはず。
まずは消費電力ですが、各種ベンチマークを回していた際のワットチェッカー読みで高負荷時で130W台、最大で140Wぐらいとモバイル向けCPUとしては高いですが、デスクトップ向けCPUと比べるとかなり健闘していました!
▼温度はFFベンチ中で60度台、他のベンチマークソフトでも大体70度以下くらいで推移と想像以上に低発熱でした。↓
もちろんどのようなファンを選定したかによって結果は上下しますが、少なくともデスクトップPCとして考えるとかなり省電力かつ低発熱で推移するものと見ていいでしょう!
各所に不親切感あり
これは明確にイマイチかなと思った点は、付属品の項目で先述したようなマニュアルがない点。これがどう不満につながっているかというと、ある程度以上の手順を手探りで組む必要性があるからです。
マニュアルも入ってはいますが、もう少し詳しい項目は公式ページからデジタルマニュアルを拾ってこないといけないんですよね。特にフロントパネルピンヘッダーの配置はマザーの刻印を見ても推測できないので、オンラインマニュアルで把握しないといけません。
他のマザーメーカーには大抵紙マニュアルも用意しているので、横にマニュアルを広げながら確認もできますが、わざわざネットを使える端末を横に置いて作業しないといけないのは地味ですが面倒に感じました。これは自作経験者の方なら分かってくれるはず。
また、Minisforum BD795i SEの付属品には各所のネジが付属してくるんですが、マニュアルにはどのネジが入っているとかそういったものは記載されていません。
ビニール包装等にどこでどうするとかの区別も無しなので、ネジのサイズと数でどこで使うとかを推測しないといけません。そこも地味に面倒なんですよね…
というか自作の経験がある筆者(メチャクチャ台数をこなしている玄人まではいかないが、ある程度の台数は自作PCを組んだ経験有り)でも、Wi-Fiアンテナ周りは悩みました。だってこの部分はMinisforum BD795i SE特有のパーツだもん…
そんな独自のパーツを用いて組み立てるんですが、肝心のオンラインマニュアルには一切記載はありません。流石にこの部分には閉口しました。
面倒だなと思ってWi-Fiアンテナを抜きにしようかなとも思いましたが、IOパネルにはWi-Fiアンテナありきの穴が空いているので、一応は付けた方がいいのは確かなんですよね。
結局Wi-Fiアンテナ周りのパーツは試行錯誤しながら組み上げましたが、これだけでかなり時間がかかりましたからね。マニュアルに記載があればその分の時間は無駄にならなかったんじゃ…と思ったくらいです。ハイ。
▼Minisforum BD795i SEのサポートページは以下の通り。マニュアルは「Downloads」の「User Manual」からダウンロードしましょう!↓
組み立てで注意すべき点をピックアップ!
先述したように組み立ては手探り感が強いので、購入をお考えの方の助けになるように、自分なりに組んだマザーでココは気をつけた方がいいよという点を備忘録として残しておきます。
なお、以下は筆者が独自で組んだものですので一部誤りがある場合がある旨はご了承願います!
▼LANカード周りのパーツは恐らくですがこのように組み立てるものだと思われます。↓
▼Wi-Fiアンテナの固定はIOパネル部分からナットで締め付けましょう。筆者はこの固定にかなり時間をかけてしまいました。↓
▼Minisforum BD795i SEはCPUファンの取り付け位置の関係上、ケースの背面部分にファンは取り付けできなくなってしまいます。↓
▼他のPCケースで試しても同様の状態になってしまうので、これはそういうものだと割り切るしかないのかも。薄型の120mmファンだと…それでもキツいかも?↓
スペックを考えるとお安い価格設定!
Minisforum BD795i SEですが、CPUコミのマザーボード、しかも相対的にコストが上がりがちなMini-ITXとなるとお高いでしょう?と思われる方もおられると思います。
しかし安心めされよ!Minisforum BD795i SEの価格は6万円台後半とハイスペックなモバイル向けCPU込みのMini-ITXマザーとして考えるとお安めの価格になっているんです!
そもそもの話ですが、Mini-ITXマザー自体がそれなりに高い(執筆時点でのAM5対応Mini-ITXマザーボードは安くても2万円台後半はかかる)ですし、CPUの性能を同等に合わせるにしてもRyzen 5 7600だとそれ単体でも3万円は超えるので、その時点でほぼMinisforum BD795i SEの代金くらいにはなっちゃうんですよね。
しかもCPUクーラーもヒートシンクがあらかじめ装着されているため、CPUクーラーではなく市販の120mmファンを購入すればOKとCPUクーラーも比較的お安く済んじゃいます。
自作PCを分かった人が買うならかなりコスパ高い!
まず、Minisforum BD795i SEの組み立て難易度は体感ですが中級者以上をターゲットにしてそうなレベルで間違っても初心者向けではありません。これは断言します。
但し本製品が欠点まみれかというと実際はそんなことなく、新しめのミドルレンジ帯のデスクトップCPUと同等クラスの性能を発揮しつつも消費電力は少なかったりとモバイル向けフラッグシップ級CPUの強みを活かしたものになっているのはかなり好印象。
しかもMinisforum BD795i SEの価格はおおよそ6万円台後半とスペックを考えると安価なのも魅力的です。やっぱ安さは正義だわ!
ということで結論!Minisforum BD795i SEは自作経験のある方で小さめのPCを組んでみたいだとか、省電力だけどパワーのあるPCが組みたいという方にオススメのマザーボードでした!ってことで締めとさせていただきます!
▼価格は変動するのでリアルタイム価格は以下からチェックしてね!↓
■Minisforum BD795i SE■
初出時価格→84,990円
▼公式ストア:3月21日時点で67,990円!↓
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