悲報。iPhone7Plusの2倍ズームは必ずしも光学望遠レンズ撮影では無かった
iPhone7Plusシリーズから搭載された「デュアルカメラ」。
光学2倍という倍率ながらも、デジタルズームのような画質劣化が無いので非常に注目されていましたが、どうやら望遠レンズを利用するには一定条件が必要なようです。
現在iPhone7Plusを利用している方は条件を把握して撮影しないと、例え2倍ズームで撮影しても単なるデジタルズームとなってしまうので注意しましょう。また、これからiPhone7Plusのデュアルカメラ目的に購入検討されている方はiPhone7Plusのデュアルカメラの特性を把握してから検討したほうが良さげです。
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iPhone7Plusは撮影環境により、デジタル、光学のズームを勝手に切り替えていた。
今回、iPhone7Plusのデュアルカメラにおいて、本特性を暴いたのはYouTuberの瀬戸弘司氏。一眼レフカメラの紹介など、カメラに関して精通した知識を持っている方で、私も瀬戸 氏の動画には毎度お世話になってます。
まず、瀬戸氏はiPhone7Plusのメイン広角カメラと望遠レンズの特性を説明。広角レンズは被写体に近づくと「歪み」が生じる事と望遠レンズでは歪みの少ない撮影が可能であることを説明。
この特性を活かして、広角レンズと2倍ズーム(この時は光学レンズを使っていると思っていた)で冷えた缶の水滴を撮影。この時、確かに2倍ズーム撮影時の缶の歪みは軽減されているが画像拡大した際に2倍ズームで撮影した画像に劣化が見られた。
瀬戸氏は不思議に思い、デュアルカメラである実験を行う。望遠側のレンズをクリップで隠して2倍ズームに切替えると…望遠レンズは隠しているはずなのにズームされたのである。ということはですよ、望遠レンズは使わず、メインの広角レンズで2倍ズームしているということでデジタルズームとなっていました。
更に検証は続き、2倍ズーム設定時に被写体から一定の距離を離すと望遠レンズにパチリと切り替わります。被写体との距離によりiPhoneが勝手に広角レンズと望遠レンズを切り替えているのようですね。
続いて、周囲を薄暗くした状態では被写体からカメラを離しても先程のように望遠レンズに切り替わらず広角レンズの状態で望遠レンズに切り替わらなかった。
望遠レンズに切り替わらないのはカメラのスペック違いによるもの。
広角レンズではF値1.8、手ブレ補正が付いている。一方、望遠レンズはF値2.8、手ブレ補正無し。
ここからはカメラ設定の知識が必要になってきますが、F値とはレンズの明るさで数値が少ないほうが明るいレンズとなる。つまり、全く同じ設定であれば望遠レンズよりも広角レンズで撮影したほうが明るい写真に仕上がる。
このスペック違いにより、撮影環境によりiPhoneがより美しく撮影出来るレンズを自動で切り替えているようです。
暗い場所で広角レンズから切り替わらなかった理由。
先程、薄暗い場所でのズームは広角レンズから望遠レンズには切り替わらなかった。それは、レンズの明るさが望遠レンズでは暗いため、多くの光を取り込む為にシャッターを長く開ける必要がある。シャッターの開いている状態が長くなると、開いている間の映像が記録されるので些細な手ブレで仕上がる写真もブレてしまいます。
望遠レンズでは手ブレ補正が無いので、時間シャッターを開けているとブレブレの映像になる可能性が高い。特に望遠ズームは少しのブレでも大きくブレる為、シャッタースピードを遅くする事は非常にリスキー。
となると、望遠レンズではシャッタースピードを一定以上遅くして光を取り込めない(出来たとしてもブレが発生するので、綺麗な写真に仕上げるには三脚等でぶれないように固定する必要がある)ので、明るさを得るためにISO感度を上げる挙動となる。しかしながら、ISO感度を上げすぎるとその特性上、非常にノイジーな仕上がりとなる。
手ブレ補正が無くブレやすい、ブレやすいからシャッタースピード一定以下に出来ない、シャッターを長く開くことが出来ないので、明るさを得るためにISO感度を上げる挙動となり、結果的に暗所での望遠レンズ撮影ではノイジーな仕上がりで汚くなる。
だから、iPhoneが勝手に周囲の状況を検知して利用するカメラを切り替えていた。というわけです。
望遠レンズが活用するには一定条件が必要。
瀬戸氏の検証結果からまとめると以下撮影状況では2倍ズームは画質劣化につながります。
- 暗所では2倍ズームではなく、広角レンズで近寄って撮影したほうがキレイ
- ドアップ撮影の為に、被写体に近づいて2倍ズームを利用すると望遠ではなくデジタルズームとなる場合があるので画質が劣化する可能性がある。
という訳で、望遠レンズを活用するにはISO感度を上げなくても良いほど「周囲が明るい場所」で「遠方の被写体をアップ」する場合に光学2倍ズームの恩恵がある。ということになります。
デュアルレンズの望遠レンズに期待している方は特性を知っておきましょう。
iPhone7Plusを購入する方の動機でデュアルカメラは非常に大きな部分を占めていると思います。一定条件が揃えば光学2倍ズームでより美しいズーム写真を撮影できるのは確かですが、望遠レンズが利用できる条件を把握しておかないと、今までよりも劣化した写真に仕上がる可能性があるということは覚えておきましょう。
それにしても今回、瀬戸氏が検証した結果は非常に衝撃的なものでしたね。
あ、瀬戸氏が動画で「iPhone7では2倍ズームボタンのUIは実装されているのか」と気にされていましたが、iPhone7では倍率変更ボタンは実装されてません。
私もiPhone7Plusの実機を弄ったことがあるのですが、倍率変更ボタンはとても使いやすかったのでiPhone7のデジタルズームでも片手でポンッとズームできるように実装してほしいUIです。