次期Arm Cortex-Xは消費電力が増えハズレ石になるかも
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現状出回っているSoCの殆どを担っているArmのCortexですが、ハイエンドモデルであるCortex-Xの次期モデルは性能向上の割に消費電力が上がってしまうとの情報が出ているようです。
次期Cortex-Xは性能向上の割に消費電力が増えるかも?
韓国のIT系に強い掲示板であるmeecoにて、장준후(チャン・ジュンフ)氏が次期Cortex-Xシリーズに関する情報を投稿しています。
それによると、Qualcommやサムスン、MediaTekなどの主要会社がCortex-X3を用いたサンプルを製造しているが、事態は芳しくないようだと伝えています。
その理由として、장준후氏は以下の事項を挙げています。
- AI関連の性能は倍増しているが、純粋な処理性能は殆ど向上していない状態である
- 処理性能自体はあまり向上していないにも関わらず、消費電力は、3GHz以上の高クロックの場合、現行モデルのX2より10%ほど高くなってしまっている。
- Cortex-X3のサンプルはTSMCとサムスンの次期プロセスからのサンプルである。新プロセスを採用すると同じ性能でも消費電力は下がるのが通常だが、新しいプロセスを使用しても消費電力は高くなってしまっている状況である
- その状態でキャッシュメモリなどのパーツを追加しないといけないため、製造コストはさらに高くなる状況に直面している
と、散々な状態ですが、장준후氏曰く、Qualcomm、サムスン、MediaTekの3社とも代替案がないのが大きな問題であるとしています。
現状での3社の対応は以下のように様々だとも장준후氏は述べています。
- Qualcomm:カスタムアーキテクチャを開発するチームを再始動中だが、動きがあるのは2024年以降だと思われる
- サムスン:再びカスタムアーキテクチャの開発計画を復活することに対して、サムスンの上層部は否定的だと思われる
- MediaTek:開発費負担で引き続きArmのアーキテクチャをそのまま使用する予定
消費電力の問題はしっかりと解決してほしい!
以前ガルマックスでも取り上げたサムスン製造のSnapdragon 8 Gen 1やExynos 2200の消費電力が高い問題は記憶に新しいところですが、今回の話はTSMC、サムスン両方の製造でも消費電力が高いことから、そもそも設計段階での問題が浮き彫りになっているものと思われます。
AI性能が2倍になっているとのことなので、まだ救いが無いわけではないですが、純粋な性能向上かと言われると「う〜ん」と首を傾げるのが正直なところ。
また、3社の対応で一番未来がありそうなのはQualcommですが、動きがあるのは2024年以降と2年も先で、そもそも今回のような直近の解決策には至っていません。
サムスンは、先述の事例もあってかどうもSoCの製造に及び腰なところも見られる点、MediaTekもリファレンスで乗り切ろうとしている点から、Qualcomm以外の2社は率先して解決しようともしていない状況が今回の話より伝わります。
まだプロトタイプ段階の話なので、消費電力の問題を無事に解決できる時間は十分にあるとは思います。しかし、万が一解決できないまま発表に漕ぎ着けたとすれば、2022年発表の殆どのハイエンドSoCは、主に消費電力の面で所謂「ハズレ石」になる可能性もあります。
モバイル端末に搭載されるSoCは性能も重要ですが、なんだかんだ言っても省電力性がかなり重要視されます。Armには無事に解決してほしいものですね!