5G通信に対応したSnapdragon 600シリーズが登場か?
Weiboの有名デジタルブロガーである数码闲聊站氏が新しいSnapdragon 600シリーズについて、5G通信に対応したものを出すだろうとのリーク情報を発信していました。新しいSoCの名称は不明ですが、数码闲聊站氏は仮にsm6350と呼んでいるようです。
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sm6350の詳細
【引用元】数码闲聊站(Weibo)
気になるのはsm6350のスペックの内訳。
数码闲聊站氏によるとCPU部は2つの高速処理用プロセッサ(2.246GHz)+6つの省電力用プロセッサ(1.804GHz)の組み合わせと推測されています。これは2.2GHz×2+1.7GHz×4の組み合わせであったSnapdragon 710を彷彿とさせます。また、全体的な性能を左右するCPUマイクロアーキテクチャはCortex A77ではないかと予想しています。
さらにゲームなどで重要なGPU部はSnapdragon 670でも搭載された実績のあるAdreno 615のようです。
過去のSoCからsm6350がどの立ち位置か辿ってみよう
Snapdragonの型番ルールを確認
さて、Qualcommは度々型番の命名ルールを変更しているのはご存知でしょうか。以前までMSM8998やSDM710などと表記がされていましたが、現在はSMから始まる型番へと変更されています。例えば、Snapdragon 865はSM8250、Snapdragon 768GはSM7250-ACといった具合です。
また、Snapdragon 765GはSM7250-AB、Snapdragon 765Gの前SoCであるSnapdragon 730はSM7150-ABとなっていますので、世代が新しくなったり、性能が向上するにつれ2番目の数字が更新されていく仕組みとなります。
最後についているアルファベットはざっくり言うと改良版であることを表しています。例えばSnapdragon 855 はSM8150ですが、マイナーチェンジモデルであるSnapdragon 855+ はSM8150-ACになっています。5Gの有無で分かれているSnapdragon 730も同じ法則に則っていますので、5G無しのSnapdragon 730はSM7150-AAですが、5G有りのSnapdragon 730GはSM7150-ABと最終桁のアルファベットが変わっているんです。
以上の点から型番のルールを箇条書きで解説すると…
- 数字4桁中1番目はSoCのランクを表している
- 数字4桁中2番目は世代、または大幅な性能向上により数字が大きくなる
- 最後のアルファベットは改良版であることを表している
と読み取れます。
以上から読み取ると、sm6350はSnapdragon 600シリーズでなおかつ頭の数字4桁中2番目の数字が2019年に発表されたSnapdragon 665のSM6125の「1」からプラス2された「3」になっていることから、同じSnapdragon 600シリーズの中でも665よりさらに上位の位置付けとされるのではないかと推測されます。
CPUコアはARM Cortex A77がベース?
さらに気になる情報は、sm6350はCPUコアにCortex A77が採用されるのではないかということ。実はSnapdragonシリーズに採用されているCPUコアであるKryoは、初代Kryo以外は基本的にARM社のCortexをベースにカスタムされたCPUコアなんです。
例えば、Snapdragon 865で採用されているKryo 595はCortex-A77とCortex-A55をベースにカスタムし、Kryo 595 Gold、Kryo 595 Silverと名乗っているわけです。
さて、sm6350で採用されるのではないかと目されているCortex A77は、2019年発表の高性能マイクロアーキテクチャ(ざっくり言うとCPUコアの設計図)と最新のもの。さすがに全体的なスペックは上位クラスのSnapdragon 800シリーズやSnapdragon 700シリーズよりも控えめになるでしょうが、今までのSnapdragon 600シリーズのSoCよりも断然高性能になりそうな予感!
Snapdragon 600シリーズでは初の5G通信が可能
上記の通り、sm6350はSnapdragon 600シリーズでは初の5G通信が可能と言われています。
これ以上言及されていないので詳しい情報はありませんが、ミドルハイ最上位のSoCであるSnapdragon 765は5GモデムをSoC内に統合している点やsm6350はSnapdragon 765よりも安価にしないといけないことを考慮すると、Snapdragon 765と同じく5GモデムをSoC内に統合させた上で、最大通信速度をSnapdragon 765に組み込まれている5Gモデムと同等、もしくは速度を抑えるのではないかと推測できます。
安価な5G対応SoCはライバルも多い!
今回紹介したsm6350以外にも、MediaTeKのDimensityやHUAWEI傘下の企業であるHiSiliconのKirin、そしてサムスンのExynosなど、安価な5G対応SoCの開発が盛んとなっています。特にDimensity 1000+を搭載したVivo iQOO Z1は廉価グレードで2198元(約34,000円)と5Gスマホとしてはかなり安価に設定されています。HUAWEIもnova 7 SEが5G対応のミドルハイ最上位クラスのSoCであるKirin 820を搭載して2,399元(約36,500円)と 価格と性能面でも負けていません。
価格と性能のバランスが取れている点から、これからのスマホのメインストリームとなりそうなミドルレンジ帯。強力なライバルが多い中、Qualcommが開発中のsm6350がお安い5Gスマホ普及の後押しとなれるか。注目したいところです!