2022年5月に発表されたミドル帯のSoC「Helio G99」のスペック、実機での処理性能とゲーム性能、実際の動きをチェックしてみました。
なお、本記事で紹介する内容は「目安」です。スマートフォンやタブレットはSoC以外に画面の解像度、メモリ搭載量、ストレージの速度などで動作が変わってきます。
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Helio G99のCPUとGPUのスペック
SoC | Helio G99 |
CPU | Arm Cortex-A76 × 6 Arm Cortex-A55 × 2 |
CPU周波数 | 2.2GHz × 6 2.0GHz × 2 |
GPU | Arm Mali-G57 MC2 |
GPU周波数 | – |
Helio G99の処理性能
Snapdragonは大きく4つの性能帯に分かれています。Helio G99はSnapdragonだと6番台に相当するミドル帯です。
- Snapdragon 8番台(ハイエンド)
- Snapdragon 7番台(ミドルハイ)
- Snapdragon 6番台(ミドル)
- Snapdragon 4番台(エントリー)
本記事で使用する製品は以下。
▼端末の性能を数値化するAnTuTuのスコアを確認してみましょう。総合スコアは413,198点、GPUスコアは66,079点、UXは107,944点となっていました。↓
操作の快適性を表すUXスコアは10万点を超えると快適レベルと言われていますが、Helio G99はミドル帯ながら大台を突破しています。Snapdragonで言えばSnapdragon 695がライバル。
一方でゲーム性能を示すGPUスコアは66,079点とミドル帯のなかでも中位レベルなので、ゲーム性能が長けている訳では有りません。
Helio G99はCPU性能がミドル帯のなかでは高いけれど、ゲーム性能を左右するGPU性能はミドル帯の中で中位クラスなのでゲーム性能は高くないSoCです。
また、Helio G99は2022年登場時にミドル帯として登場しましたが、2023年時点では新世代のエントリーSoC「Snapdragon 4 Gen 2」とよく似たCPU/GPU性能です。
▼以下は2024年現在、AnTuTuベンチマークスコアがどれくらいの動作・操作感を示すかの目安です。本端末の性能がどの性能帯に相当するか確認が出来ます。↓
AnTuTuスコア | 動作・操作感 |
---|---|
総合スコア:約150万点以上 GPUスコア:約60万点以上 | ヌルヌル、動作に不満なし |
総合スコア:約100万点〜150万点 GPUスコア:約35万点〜60万点 | 重いゲームもなんとか |
総合スコア:約50万点〜100万点 GPUスコア:約15万点〜35万点 | 軽いゲームくらいなら |
総合スコア:約25万点〜50万点 GPUスコア:約5万点〜15万点 | 必要最低限 |
総合スコア:約25万点以下 GPUスコア:約5万点以下 | サブ端末向き |
スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ
Helio G99のゲーム以外の動き
▼Helio G99を搭載するスマートフォンでWEB閲覧(Yahoo!ニュース)、動画視聴(YouTube)、SNS(Twitter)を使ってみました。↓
WEBサイト閲覧ではタップした瞬間に表示され画像読み込みも速くとても快適に動作します。また、Amazonアプリやスマートニュースなどアプリベースの閲覧も同様に快適です。
SNSはTwitterで確認しましたが、スクロール時のカクツキもなく非常にスムーズに動作しています。
動画視聴はYouTubeで確認しましたが、画面サイズの切り替えやスクロールなども問題有りません。コマ落ちもなく非常に快適でした。
Helio G99は、WEBサイト閲覧、SNS、動画視聴などゲーム以外ではストレスなく快適に動くSoCです。
Helio G99のゲーム性能
ライトな使い方は先程検証しましたが、次はヘビーな使い方を試してみます。ヘビーな使い方の代表といえばゲーム。ここでは「重量級3Dゲーム」「軽めの3Dゲーム」の2つで試してみます。
- 原神:重量級3Dゲーム
- PUBGモバイル:軽めの3Dゲーム
▼まず重量級となる原神から。グラフィックのデフォルト設定は「最低」となっています。↓
デフォルトではフレームレートの上限30FPSの制限があるので、設定にてフレームレートのみ60に変更した後、マップの3箇所をワープで移動して4キャラ分の元素爆発を連続発動した際の高負荷状態で下限フレームレートを測定します。
▼下限フレームレートは39FPSとなりました。↓
ゲームは高負荷時に下限30FPSでると「楽しめるレベルで遊べる」水準ですが、Helio G99は変わりに画質を犠牲にする必要があります。特に原神のようなグラフィックをウリとするゲームで最も低い画質設定は映像がジャギジャギしてしまうので、グラフィック重視のゲームをプレイするには物足りません。画質を上げると30FPSを下回ることが非常に多くなるので、Helio G99では画質と滑らかさの両立は難しいです。
続いてはPUBGモバイル。2017年にリリースされたゲームで当時は重量級でしたが、SoCの高性能化も進んだので現在は軽めの3Dゲームとして検証に使っています。PUBGモバイルでは画質設定を下げた時に選べるフレーム設定の設定幅で上限フレームレートが決まってきます。
▼PUBGモバイルはフレーム設定「Ultra」まで開放されていました。上限40FPSでプレイ可能です。↓
PUBGモバイルの検証は、スモークを4つ撒いて高負荷状態を作り、スモークが切れるまで突入を繰り返して下限フレームレートをチェックします。
▼PUBGモバイルの下限フレームレートは30FPSでした。↓
PUBGモバイルは滑らかさを重視する設定でも高負荷時は30FPS以下になりそうな水準でした。ギリギリ楽しめるレベルで動くとは思いますが、シューティングゲームやレースゲームは滑らかに動くほど有利になるので、ガルマックスでは60FPS以上でのプレイを推奨しています。暇つぶし程度であれば問題有りませんが、本格的に遊ぶにはパワー不足は否めません。
Helio G99は画質にこだわらなければ楽しめるレベルで動くタイトルは非常に多いですが、本格的にゲームをプレイするには物足りないゲーム性能なので、ゲーム用途で選ぶモデルではありません。
Helio G99の動作目安まとめ
Helio G99は、非常にコスパの高いSoCです。ライバルとなるSnapdragon 695は約3〜4万円台の製品に搭載されることが多いですが、Helio G99は1.5万円〜3万円以下のモデルで多く搭載されています。
検証結果から、Helio G99はWEBサイト閲覧、SNS、動画視聴など一般用途向きで、これらの使い方では「快適」ですが、ゲーム性能がミドル帯の中では「低め」なのでゲーム用途には向きません。
スマホやタブレットでは上記のような使い方がほとんどで、ゲームは遊ばない又はゲームは動くタイトルで十分という人に向いているSoCです。