Blackview BV9300 Proの実機レビュー!背面ディスプレイ搭載タフネススマホの実力を試す
柳生です。背面ディスプレイを持つBV9300 Proをメーカーさんから頂いたのでレビューしていきますよ!
※発売前のサンプル機なので製品版と異なる部分があります。ご了承下さい。
BV9300 Proはこんなモデルでした!
- Helio G99で十分な快適さ(ゲーム除く)
- タフネスにふさわしいマッチョな筐体
- なめらかできれいなディスプレイ
- 背面ディスプレイは個性演出に抜群だがクオリティが低い
- 全体的にソフトウェアの作り込みが甘い
- 特にスクリーンショットの挙動は酷い。改善希望
- てっぺんにフラッシュライト搭載。これはメッチャ便利
- カメラクオリティは基本、記録撮影向け
- 大容量バッテリーで電池持ちは優秀だが、謎に電池が減ることも
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スペック・ベンチマーク、検証結果の一覧
デザイン:タフネス感あふれる肉厚ボディ
BV9300 Proのデザインはまさに「ザ・タフネススマホ」という趣。
▼カラーはブラック。樹脂パーツと金属パネルで組み上げられたデザインが非常にタフネスみがあってカッコいいもんです。↓
▼本体サイズは高さ184.6mm×横幅85.6mm×厚み22.8mm。重さも525gととんでもねぇですよ!片手で長時間持つのは無理。だめだこりゃ(ドリフ風)。↓
▼特に厚みがものすごくあって普通のスマホを3台重ねたような肉厚ボディ。とはいえこういう鈍重さというか手に余るような超重量こそがタフネスの醍醐味とも思えます。個人的にはデカさも重さも厚みもネックとは思いません。側面はこんな感じ。↓
▼端子はキャップ付きなので開閉が面倒。↓
▼タフネススマホ特有のストラップ穴も搭載。付属品にストラップも付いておりこういう感じで通して使えます。付属品のやつは短めで手首やリュック・ベルト等のカラビナ用っすね。↓
▼重たいから手からズルって落ちても落下しないってのはいいもんですね(あんまストラップ使ってこなかったから結構新鮮)。↓
性能:Helio G99搭載。普段使い向けなら良好
BV9300 ProのSoCは最近様々なモデルで著しく採用されているMediaTekのHelio G99。UNISOCなみにものすごく見かけるチップではありますが、あちらよりもスペック自体は格段に上。ミドルレンジの中位ぐらいの性能があり、それ故普段使いであれば快適に動きます。
ゲーム性能は低い
このSoCを搭載したスマホ(タブレット)を触ったことがある方ならおわかりだと思いますがHelio G99自体はゲーム適性は低め。快適に遊べるのは2D系とかミニゲームとかそういうタイプまで。
ミドルハイSoCと違って画質を下げたとて快適に遊べるとも限りません。そもそもタフネススマホでガチな3Dゲームを遊ぶ人はいるかさえわからんのですが、PUBG:Mobileや原神といったものも快適さとは無縁。
そもそも物理的にもフィーリング的にもキツいっす。重たくて長時間持てない。
▼原神検証最低フレームレートは22。デフォルト画質は「最低」でした。↓
▼公式画像(ディスプレイのやつ)では原神のスクショがあるので原神も120Hzで快適にあそべるんじゃね?って勘違いしそうになりますが、絶対それはない。↓
そもそも原神アプリ自体のリフレッシュレート設定が60Hzが上限だったりするのでハイエンドスマホでも60Hzが頭打ちになります、だからこの画像、マジでわけわからん。後述のスピーカーもだしこういう見せ方はよくないっすね。
画面:120Hz対応で視認性は良好
BV9300 Proのディスプレイスペックはこんな感じ。
- 6.7インチ(でかめ)
- 2,388×1,080(FHD+)
- 最大120Hz表示対応(なめらか)
- IPS液晶(視野角が広い)
- 中央パンチホール形状
▼スペック的には申し分ないものとなっています。実際見た感じ色の出方と視野角の広さも感じられ、また最大120Hzの高リフレッシュレート対応ってのもGood!↓
▼色合いの設定も対応しており、鮮明にすると(黒部分を除き)有機ELと遜色ないレベルに画面が鮮やかになります。デカさも相まって写真や動画コンテンツの視聴も楽しめますね。↓
サブディスプレイは個性的!
▼BV9300 Proの一番の特徴といえばこの背面ディスプレイ。タフネス、かつ背面ディスプレイ搭載って点において個性ありまくりで実際に触るのが楽しみでした。まさに個性の塊。インパクト抜群ですよ!↓
▼好きな写真をブチ込んでおけば普通のスマホでは実現不可能なルックスによる個性を演出することもできるのが魅力ですね。ただし写真トリミングや時計の位置は変更できず、予め調整が必要。↓
▼設定のBackScreenって項目から文字盤や時計のスタイル。またウィジェット(天気予報や音楽コントロールなど)の表示、非表示設定もできます。スマートウォッチみたいな感じ。↓
レビュー時点での対応ウィジェットは以下の通りです。
- 時計
- 天気予報
- 歩数やカロリー
- 音楽コントロール
- 写真撮影(アウトカメラ使用)
▼スマートウォッチっぽくこういう天気予報やコンパスを表示可能。↓
‥しかし実際に使い込んだ結果、気になる点がいくつかありました。
- バックライトが消えない
- 再起動するとカスタム文字盤デザインが消える
- タッチの反応が悪い
- 公式で謳われてた通知表示に対応していない
- コンパスの精度が悪く使い物にならない
- 挙動自体も怪しくシステムUIが強制停止することもあった
と言った具合なんです。
▼まず液晶を照らすバックライト。なぜかBV9300 Proの電源が入っている間ずっとオンになってしまいます。このせいで暗所では気になるし電池消費もしてしまう。↓
▼タッチの反応も悪い。ページを送るスワイプ操作自体は難なくできますが、メディアコントロールのボタンを押そうとしても全然押せない。ボタンの当たり判定が小さすぎるようです。非常にイライラさせられる。↓
▼また通知の表示機能があるといわれていたのですが、コチラは機能自体がありませんでした。通知がある場合は左側に赤い丸点があるのみ。通知受信時にアプリ名や内容を表示することはありませんでした。そもそも設定内にも通知自体のページがなかったし。↓
▼そしてサブ画面を用いてアウトカメラで自撮りもできるんですが、これで撮影した瞬間システムUIが強制停止。撮影もできないし動作も不安定で使い物にならんです。↓
編集長が担当した「Blackview BL9000の実機レビュー!背面ディスプレイ搭載のハイパフォタフネス!」も同様の背面ディスプレイを搭載していますが、あっちはBlackviewが謳っている通り機能している様子で動作も問題ないと言っていました。
Blackviewに確認したところ、どうやら今回手元に届いたサンプル機はソフトウェアが製品版と異なるそうで、製品版ではバックライト付きっぱなし、通知が出ない、再起動で壁紙が戻るの3点は解消していると回答がありました。という訳で、気になっていた部分はある程度解消されているみたいですが、レビュー機でウリの機能が満足に使えなかった点はただただ残念でした。
スピーカー:モノラルスピーカーでした
▼BV9300 Proのスピーカーはモノラルタイプで1基から音が出るタイプでした。公式画像ではデュアルタイプと思わせる画像だっただけにこれもネックといわざるを得ない。↓
一応文言としてはデュアルスピーカーとは書かれていないしスペック表にもスピーカー項目内に「1PC(1基)」という記載はあるのですが、こういう誤解を招く表現はマジでやめて欲しい。
実際に使った感想としては音質、最大音量ともに良好。臨場感には欠けるのですが最大音量は大きめだし、音質もボリューム8割までならディテールの破綻もありません。ラジオを流すような感じの使い方ならこなせます。
▼イヤホンジャック端子はありませんが、Type-C充電端子に接続できる変換アダプターは使えます。ただ付属はしてません。↓
OS・機能:独自カスタマイズOS‥だが作り込みが甘い
BV9300 ProのOSは素のAndroidをカスタマイズした「Doke OS」となっています。SamsungやXiaomiといった大手メーカーのOSと同様に独自機能やカスタマイズUIデザインが特徴的。
Blackview、最近ではタフネスだけでなくタブレットやこういう独自OSを開発しているという点においてOUKITELやDOOGEEなど競合他社よりも抜きん出ており、行動力と意欲は素晴らしいと思います。
しかしDoke OS、実際に使った感想としては「作り込みが甘く、全体的なクオリティが粗い」と感じました。大手メーカーのような人員やコストをかけられないからなのかもしれんですが‥まだまだ微妙感ぬぐえない。
正直、筆者からしたらこれで「独自カスタマイズOS」という括りで紹介したくない。One UIやMIUIと並べるには烏滸がましいです。
総評としては不満ですが短所だけでなく長所もあるのでご紹介。
MIUI風の通知スタイルに変更できる
▼通知スタイルはカスタマイズ可能となっています。パンチホールから左側にスワイプダウンすると通知内容が、右側だとWi-Fiなどのコントロール画面がでてくるようになっています。↓
このコントロール画面のデザインやアイコン名称を見た感じ、MIUIを結構意識しているっぽいですね。
とはいえこの画面の挙動が微妙に怪しく、スクロール時はカクつきが目立ちます。スクロールすると若干飛び飛びになって扱いにくい。
▼もちろん従来式に戻すことも出来ます。使い慣れた従来式のほうがいいやってなった。↓
スクリーンショットは改善希望。扱いにくいし失敗することもあった
スクリーンショット機能は最悪です。
▼これは純正OS同様なんですが、スクショしたときのプレビュー画面が邪魔。撮影すると画面左側にちっちゃいプレビューが出てくるんですが、これが出ている間は他の部分がタッチ操作できなくなるという点が非常に鬱陶しい。↓
この状態だと3ボタンナビキーすら触れません。3秒ほどで勝手に消えるしヨコにスワイプしてどければ良いんですが、そもそも独自OSを謳うクセにこのプレビューを非表示にできないのも苛立つポイント。
▼もう1つたちの悪い点があって、うっかりタップすればスクショの編集画面に強制的に飛ばされます。邪魔すぎる。しかもこの画面、戻る操作も受け付けてくれません。↓
小さいプレビュー画面をヨコにスワイプすれば消せるとはいうものの、これをゆっくりスワイプしないと消せない。素早くシュッってやると編集画面に飛ばされます。マジで酷い。
筆者の場合はこういう記事執筆用のスクショを撮ったり、取材の会場のURLや外観の簡易メモだったりマップでの乗り換えメモのために結構スクショするんですが、このスクショの挙動が酷くて使う気なくした。サードパーティアプリの使用をオススメします。
標準AndroidOSのもどかしい点がそのまんま
▼筆者にとっては普通のAndroidのこういう仕様がもどかしく改善して欲しいポイントです。↓
- アプリ履歴の一覧性が悪い
- 通知の「すべて消去」ボタンが隠れてしまう
- ジェスチャーナビバーが消せない
- スクショのプレビューと音が消せない
- 側面指紋センサーが誤爆しやすい仕様
BV9300 Proの場合はこれらの部分を解消しておらず、本質的にもどかしい部分がそのままで扱いやすくありません。
▼アプリ履歴画面では「すべて消去」ボタンが常時表示されたりするのは良いですが、大画面でアプリ画面が並ぶタイプのままなので一度に表示されるアプリが少ないのもネック。↓
▼通知のすべて消去ボタンも下にスクロールしないと出てこないタイプでした。地味に不便で困る。↓
▼そして電源キー兼指紋センサーは触るだけで認証される方式のみ。なので本体を持ってるとき、うっかりセンサーを触って認証失敗になるということもザラにある。↓
この点は昔から言ってるんだけど「画面がオンのときだけ認証する」っていう挙動になってくれたらなと思えます。
One UIやMIUIなどの独自OSは、以下のようなノーマルAndroidOSのムカつくもどかしい部分を解消していましたし、Doke OSもカスタマイズOSをアピールするのであればこの点をなんとかしてほしいもんです。
大型フォルダ機能に対応した
Doke OSなりの長所もありました。
標準Androidにはない便利機能のうち「大型フォルダ機能」に対応!この機能はプリインされてるランチャーの機能ですが、フォルダを大型化することで中身のアプリにアクセスしやすくなるというもの。
▼普通のフォルダと違って範囲は2×2と大きいですが、その中にあるアプリに直接タップすればすぐ開けるようになっています。フォルダの長押しで大型化可能。↓
これにより省スペースでアプリを敷き詰められますし、普通のフォルダよりも手数が少なくアプリを開けるってのは結構便利で気に入ってる機能。
マルチファンクションキー搭載。アプリをすぐ開けて便利
▼タフネススマホで見かけられるマルチファンクションキーも搭載しているのもGood。ボタン自体も大きく手袋装着時でも非常に押しやすいです。↓
▼「1回押し」「2連続押し」「長押し」の3パターンでそれぞれ挙動をカスタマイズ可能。ショートカット操作を3つまで割り当てられてこれはかなり気に入ってます。↓
筆者的には後述のフラッシュライトとPayPay起動で特に重宝しますね。コンビニ決済とかでPayPayを使うもんで、長押しですぐバーコード画面を出せるんでかなり便利だった。
フラッシュライトは明るく実用性バッチリ
BV9300 Proの上部にLEDライトが埋め込まれており、これにより懐中電灯としての運用にも対応。個人的にはこの部分がBV9300 Proで一番気に入ってるかも。
▼これも結構良くて、実際に照らしてみるとかなり明るかったっす。普通にLED懐中電灯と同じぐらいはあるんじゃないか説ある。夜道もバッチリ照らせたぞ!↓
あと上で書いたマルチファンクションキーと絡めるとすげー便利。2回押しに設定ですぐ懐中電灯アプリが開けるし、しかもこの状態でキーを押せばライトのオンオフの切り替えもできました。ここまでしっかり作り込んでくれてるのは驚きですよ。
カメラ:記録撮影向け
BV9300 Proのカメラはメインと超広角のデュアル構成となっています。タフネスモデルながら画素数が結構高め。ナイトビジョンやサーマルといったたぐいの特殊カメラはないですが、まぁ背面ディスプレイあるし仕方ないか‥
▼実際の写真写りはどうかというとこんな感じでした。日中撮影やメシ撮りならなかなか良さげ。↓
日中撮影やメシ撮り自体の実力はなかなか良いです。かつてはタフネス、しかもミドルレンジあたりではクオリティが結構低めだったんですが、それも昔の話かもしれませんね。
▼超広角カメラで撮影。メインカメラと並べてみました。左がメイン、右が超広角カメラ。↓
色合いがメチャクチャ変わってる!ってかむしろ超広角カメラのほうが色のエモさがあるような。解像感は無いんだけど個人的には結構好きっすね‥この味付け。
▼残念ながら背景ボケのポートレート撮影は機能してません。物撮りや人物撮影で試したけどどちらもボケ味は通常撮影と変わらんかった。おそらく不具合なのでアプデで修正されるのを祈りましょう。↓
▼夜景撮影。明るさと白飛びのおさえ具合はなかなか。↓
▼ただ夜景の場合ピントが合うまでが遅かったり、そもそも被写体を中央においてもボケてしまうし、そのままピントを直さず撮影してしまうのが欠点ですね。平気でミスショットしてしまうから使う気なくす。↓
▼超広角カメラもナイトモード対応なので試してみましたが、実力はお察しといったところ。左が通常カメラのナイトモード、右が超広角カメラのナイトモードでの撮影です。↓
画角こそ広がりますが暗く写ってしまうのでナイトモードで超広角カメラ撮影は基本的に使い物にならんと感じました。メインカメラでならまだ戦えるってレベルかな。
▼超広角カメラを用いたマクロ撮影も対応していました。↓
こちらは非常に素晴らしい。200万画素のマクロカメラモデルと違ってものすごく近寄れるし、ディテールも明るさもバッチリで撮影しててメッチャ楽しい!
▼インカメラ撮影。明るさはまあまあ良好。↓
▼また、こういう感じで画面を白く明るくすることで明るめに撮影するという機能がありました。もともと明るい場所だと効果は薄いけど暗い場所なら有用です。↓
▼最後に動画撮影で手ぶれ補正の検証。意外にも手ぶれ補正は対応していました。↓
しかし、60FPS非対応で、補正自体も怪しく残像感がかなりあるので個人的には使い物にはならんです。定点撮影向け。
バッテリー:大容量で1日は持つが謎に消費される
電池持ち自体は間違いなく優秀。15,080mAhとスマホ3台分ものデカさで、普通に使っても1日2日は余裕で持ちます。
▼急速充電も33Wまで対応。特大バッテリーなので充電自体の時間も当然かかるわけですが、3~4時間ほどで満充電できるペースでした。電池持ち自体も相まってこの点はやはり最強クラスですな。↓
逆充電も対応しておりモバイルバッテリー用途として活用できるってのも個人的には嬉しい。重たいけどモバイルバッテリーと思えば我慢できる。アウトドアだけでなく、ウーバーとかでも使っていける(`・ω・´)。
▼ただ、ディスプレイ消灯で使っていなくても定期的に電池がちょぼちょぼ減ってしまいます。背面ディスプレイがずっとバックライト点灯しているせいなのかな。↓
BV9300 Proまとめ
発売前のサンプル機なのでソフトウェア面で気になった部分はありましたが、これらは製品版ではある程度解消されているとのことです。以下の場合に検討してみていいかもしれんです。
- 背面ディスプレイなど、スマホに遊び心を求める人
- 出前館やウーバーなどの配達をする人
タフネスらしいロマンや背面ディスプレイ搭載による個性は他にはほぼない要素。それでいて大容量バッテリーとフラッシュライト搭載ってのも相まって、配達員さんは便利に使えるかも知れません。電池持つし懐中電灯としても使えますからね。
一方で、背面ディスプレイ搭載とはいうものの、このせいで特殊カメラが無かったり電池消費が増えたり、ソフトの安定性が怪しくなったりということもあるのでアップデート情報なども確認しながら検討するのが良いかも。