「Snapdragon 7 Gen 3」発表。7 Gen 1の後継チップセットで最大クロックは7+ Gen 2より低い2.63GHz
ミドルハイであるSnapdragon 7シリーズの最新世代チップセット「Snapdragon 7 Gen 3」が発表!Snapdragon 7 Gen 1の後継で、7+ Gen 2よりクロック数は低め。あと搭載予定のスマホメーカー、その発表予定日についても報じられています。
Snapdragon 7 Gen 3の特徴
Snapdragon 7 Gen 3の性能、特徴は以下の通り!
Snapdragon 7 Gen 3のハイライト
- Snapdragon 7 Gen 1の後継チップセット
- プロセスルールは4nm、最大2.63GHz
- パフォーマンスが15%アップ、電力効率は20%改善
- HDRゲームのレンダリング性能が50%アップ
- AIエンジンの電力効率が60%改善
- 2億画素対応、AIにより暗所での鮮明さなど改善
- シャッターラグゼロにおける対応画素数は低下
- 急速充電Quick Charge 5対応
- 解像度とフレームレート対応上限がアップ
- 4Kの外部映像出力に対応するようになった
- 5G×2のデュアルSIMが可能になった
まず、Snapdragon 7 Gen 3、2022年5月に登場した「Snapdragon 7 Gen 1」の後継チップとなります(Snapdragon 7 Gen 2自体が存在しないため)。
そのため、性能比較も7 Gen 1準拠となります。「7+ Gen 2」や「7s Gen 2」と混同しないように留意しておきましょう。
で、発表されたスペックについてまとめると、CPUはQualcomm Kryo、GPUはQualcomm Adreno、NPUはHexagonとなっています。
最大クロック数は2.63GHzとのこと。ただし他のコアの周波数については明らかになっていません。なお最大クロック数で比較すると、7+ Gen 2(最大2.91GHz)より下、7 Gen 1(最大2.40GHz)よりは上となります。
パフォーマンスは15%アップを謳っています。また電力効率も20%改善とのことで、性能と電池持ちは順当にアップしていますね。
HDRゲームのレンダリング性能は50%と大きく向上とのことで、3Dゲームの動作はどれほど快適になったか‥その違いも気になるところです。
流行りのAIについてのパフォーマンスアップも謳っており、電力効率は先代比60%改善とのこと。
なお参考までに、先代Snapdragon 7 Gen 1のAnTuTuベンチマーク(v10)参考スコアは66万点ほど。そこから考えるとSnapdragon 7 Gen 3のAnTuTuスコアはおそらく70~80万点ほどに落ち着くと筆者は予想。
カメラはQualcomm Spectraプロセッサー採用、かつ対応画素数が2億画素でこの点は先代と同じ。
ただしAIが強化されたことで、より忠実な色表現、高解像度での記録、薄暗い環境でも鮮明な撮影が可能とのこと。動画でもAIビデオリタッチを用いて細部まで鮮明なHDR映像記録の実現ができるそうです。
一方でシャッターラグゼロ(ボタンを押した瞬間に撮影)については対応画素数が先代より下がっています。比較すると以下の通り(カッコ内が先代7 Gen 1)。
- 6,400万画素・30FPS(8,400万画素・30FPS)
- 3,200万画素+2,100万画素・30FPS(6,400万画素+2,000万画素・30FPS)
- 2,100万画素×3・30FPS(2,500万画素×3・30FPS)
公式で画素数が下がった理由について言及されていませんが、カメラは基本的に画素数が高まると暗くなる傾向にあるため、素早い撮影でも明るく撮影できるようになったのかな?と筆者は推測しています。
急速充電規格のQualcomm Charge 5に対応で、5分で50%の充電ペースとのことで結構早いですね!ただしスマホ側でこのレベルの急速充電に対応している必要こそありますが‥。
ディスプレイ関連のスペックが大きく向上しているのも注目です。
先代7 Gen 1では解像度とリフレッシュレートの上限が「FHD+・144Hz」「QHD+・120Hz」までだったのに対し、Snapdragon 7 Gen 3は「4K・60Hz」「WFHD+・168Hz」「WQHD+・120Hz」まで対応しています。
モニターなど外部デバイスへの出力も強化されており、4K・60Hzまでサポートするようになりました(先代ではQHD+まで)。
そして回線面ではデュアル5G同時接続が可能となっています。Wi-Fiは先代同様にWi-Fi 6E対応ですが、Bluetooth対応バージョンは5.3にアップしています。
HONOR、vivoスマホに搭載予定。11月中に登場の予定
Snapdragon 7 Gen 3を搭載するスマホはHONORとvivoのスマホが最初に搭載する予定で、今月中に発表されるとのことでした。
ゼネラルマネージャーであるChristopher Patrick氏いわく「次世代の需要の高い機能の開発を支援」「強化されたAIや並外れたカメラ機能などを消費者がより広く利用できるようになる」とのこと。
ハイエンドの立ち位置ではないため最強クラスの性能は見込めない反面、AIを駆使した新機能やより便利な機能、UIやアプリといった面を重視しているようですね。
皆さん御存知の通り、近年ではAI台頭やそれに関わるサービスの登場が著しい成長の傾向にあります。CPU、GPUといったコストのかかる基礎部分よりも、ある意味で「未知数の塊」といえるAI面に注力するという判断は至極真っ当ではないかと個人的に思います。
あと、命名規則がめちゃくちゃなので、Snapdragon 7+ Gen 2の後継SoCと捉えてしまうと痛い目に合いそうです。